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本来の姿を取り戻す

「みんなの心に輝く学校をめざして」取り組んだ学校経営、「生き生きとした学校生活のために」取り組んだ生徒指導で感じた課題の解消を念頭に置いて教育問題などを考えます。

◇分かり易ければ

 現職最後の学校だったが、学校経営の方針を「みんなの心に輝く学校をめざして」と題した文書(A4-1枚)にして地域全戸に配布した。しばらくして全く意味が分からなかったとの声が届いた。経営方針を保護者や地域に理解してもらうのは難しい。

 学校経営の努力の方向に関する内容は、教職員がそれぞれ担当する教育計画を作成する時に、踏まえるべきこととして文言が羅列されているので余計理解困難なものだったのだろう。一般の人にとっては何のことだかわからないのは当然で、読む資料ではなく見る資料とどこかに記載すべきだったと反省した。

 教職員は努力の方向をすべて踏まえるのではなく、担当する部分のために記された数項目を踏まえるのである。したがって、各種教育計画は担当者の教育観が大きく関与するものとなる。直したいことがあれば遠慮することなく直すべきである。

 学校経営計画は正直分かりにくいものが多かったが、あれもこれもといろいろ書き込み過ぎるからなのかもしれない。最近は関連図にしたりグランドデザインを策定して構想図にしている学校もあるが、きれいにまとまっているだけに余計に分かりずらいと感じる。分かり易ければ教職員はやり易いだろう。

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 地域の皆様へ

 西中学校の生徒は素直で活力があります。また、人なつこく来校者など多くの方が親しみを感じるようです。保護者や地域の皆様は学校に協力的です。学校が年々良くなり、皆様の期待に応えられる学校になってきましたが、今後も益々伸びていく学校にするため学校経営方針をお知らせすることにしました。経営の方針を踏まえて各種教育計画が作成され教育活動が行われていきます。皆様の変らぬご支援をお願い申し上げます。(平成21年7月 西中学校長)


「みんなの心に輝く学校をめざして」

 創意ある学校運営の推進
◇郷土や国の歴史や文化、伝統を愛する心情を育成する。
◇生徒や地域の実態を踏まえ、特色のある学校を創造する。
◇信念や誇りをもって各種の教育活動を推進する。

 教職員研修の充実
◇組織で諸問題を解決するための組織力向上に努める。
人間性を高めるための修養に努める。

 学習指導の充実
◇基礎的・基本的内容の定着を図る。
◇楽しさや達成の喜びを味わわせ、生徒が学習に意欲的に取り組めるようにする。
◇全校一斉の漢字テスト等を通して、助け合って学習する習慣を育成する。

 特別活動の充実
◇励みとなるような助言や評価を通して自発的自治的な活動を促す。
◇多様な活動を通して、教師と生徒の人間関係を深める。
◇自分の考えを積極的に述べられるようにするとともに、他の考えを尊重する態度を育成する。

 道徳教育・情操教育の充実
◇道徳とは道得であると認識し、生涯の指針となる学習になるよう努める。
◇考える力や豊かな人間性を育むため読書を奨励する。
◇校舎内外の環境整備に努めるとともに、自然や芸術等に親しむ活動では、生徒にとって感動の体験となるよう努める。

 生徒指導の充実
◇生徒との対話を基本に、礼儀や作法、言葉遣い、服装等の指導に努める。
◇保護者と連携し、生徒を良い方向に導くことで問題を未然に防ぐ指導に努める。
◇悩み等の解消や自己実現のため、随時相談を必要に応じて実施する。

 体育指導の充実と保健・安全指導の徹底
◇教科や体育的行事、部活動等で自信をつけさせるとともに、スポーツ好きな生徒を育成する。
◇性や薬物に関する正しい認識をもたせ、性被害防止、薬物乱用防止指導に努める。
◇用具の片付けや環境整備、施設・設備の点検を十分に行い、事故防止に努める。

 特別支援教育の充実
◇特別支援が必要な生徒の理解を深め、個々に応じて方針をもって指導できるよう指導計画を作成する。
◇交流学習を推進し、相互理解の促進、望ましい人間関係を育てるよう努める。
◇社会的自立を図るため、障害の状態・発達段階・適性等を踏まえた進路指導の充実に努める。

 人権教育の推進
同和問題をはじめとする差別の解消は、国民の願いであるとともに、義務との認識をもって生徒や保護者への啓発活動を行う。
◇いじめ等の人権侵害事案を見逃さず、毅然とした指導をする。
◇生徒会によるいじめ撲滅運動などを通し、正義感を育成するとともに、人権尊重の精神を培うようにする。

 進路指導の充実
◇マイ・チャレンジなどの体験学習や進路相談を充実させ、学ぶこと働くことへの意欲を高める。
◇進路指導は人間としての生き方指導であって、進学指導ではないことを常に意識の中に置き、計画的・継続的な指導に努める。
◇保護者に働きかけ、家庭からも生徒への有効な指導ができるようにする。

 家庭・地域との連携
◇地域の行事には積極的に協力する。
◇学校と一体となって生徒を教育する気風を醸成する。
◇生徒の育成に情熱を注ぎ、期待に応えられるようにする。

  (2021.7.9)

◇体育教師の人気はなくなっているかも

 教員採用試験の競争率が年々下がっていることを過去のブログで取り上げたが、教員志望者減は相当なもので、産休や育休、休職の補充がいつになってもできなくて困っている現場は少なくないようだ。

 母校の剣道部に入部した国体選手(少年の部)が何人もいたが、卒業後は体育の教師として期待され本人もそのつもりだったのに多くが教師になっていない。他大学にも武道学科を卒業し誰もが教師になると思っていたのに他の職に就いた例は少なくない。

 体育教師は運動会や長距離走大会、市や県の駅伝競走大会、新体力テストなどの体育的行事を教職員の中心となって企画運営しなければならない。授業は保健体育科(1教科)としての扱いだが、内容は体育分野と保健分野に分かれている。体育分野には体つくり運動、器械運動、陸上競技、水泳、球技、武道、ダンス、体育理論があり、ラインを引いたり用具を揃えたりなど、毎時間の授業準備に時間もかかり体育分野だけでも教科として十分であるように思うが、保健分野まであり実質は保健と体育の2教科を担当しているようなものである。

 授業は通常クラス単位ではなく男女別なので、保護者の授業参観には担任の授業をとなると道徳か学活しかなくなる。雨や強風などでグランドが使用できなくなり、体育館の使用もできなければ内容を変更することになるが、そういった対応も素早くできなくてはならない。

 講師を経験し警察官や役所の職員として働いている後輩は、教師よりも今の方がはるかにいいと話していたが、生徒指導や保護者対応でも問題を抱え、負担が重くのしかかる現場を知れば知るほど教師への思いに見切りをつけてしまうのだろう。学校をよくしたいならいい体育の教師を呼べと言われていた時代もあったが、今は体育教師の人気がなくなっているのかもしれない。教育の現場はどこも働きやすく夢破れるような職場であってはならない。  (2021.7.1)

◇教育目標(4)…管理職が決めるものではない

 平成28年3月(2016年)で廃校になった中学校に2年間勤務したことがある。その学校の教育目標は、望む生徒像を箇条書きしたものだった。

 ・心身ともに健康な生徒
 ・自ら考え想像力を高める生徒
 ・広い心で協調できる生徒
 ・根気強く努力する生徒

 何人かの教職員に教育目標を確認すると誰も覚えていなかった。教職員の目標になってないことが分かったのである。そこで教育目標を変更することにした。留意したことは覚えやすく分かりやすいこと、そして、生徒にも目標と受け止めてもらえるものにすることだった。教育目標は、

 「智(ち) (じよ) (けん)

と決定した。多少時間はかかったが、全職員が取り組んでできた目標なので満足感があった。物事の道理を知り正しく判断できる力を培うこと、相手を思いやる心寛容な心を培うこと、健康でたくましい心身を培うといったことが目標で生徒にも十分理解できるものだった。

 教育目標が何十年も変わらないと、変更などしてはならないものという気持ちになるのかもしれないが、教職員や生徒の目標になっていない状況があれば、躊躇せずに変更すべきだろう。やってはいけないことは、ある日突然、教職員がかかわることもなく管理職が変更してしまうことである。 (2021.6.22)

◇北京オリンピックは平和の祭典にならない

 過去のブログ「世界は中国と共存できない」で、中国共産党が消滅するまで世界は団結しなければならない。国際法を無視して傍若無人な振る舞いを続ける中国と世界は共存できないと書いたが、近隣諸国は中国の侵略に備えて軍備を整え、同盟を結んで防衛力を高めなければならないだろう。

 中国共産党が恐れるのは外国ではなく中国国民のようで、内外の情報を遮断して国民に真実を知らせない、言論の自由を奪う、恣意的な法の運用で国民を拘束する、などはその現れだろう。国民の多くが共産党の統治に納得しているとは思えない。中国に軍事的勝利は難しいが、習近平国家主席が国内で面目をなくし指導力を失っていくような対応ならできるだろう。

 経済面で苦境に立たせることができれば特に効果的だろう。国民の不満が政権に向かっていけば内部崩壊によって共産党政権を倒せるかもしれない。

 東京オリンピックの中止を求める声は少なくはないが、中止すれば世界から信頼を失うことになるので容易に決断はできない。北京オリンピックも成功裏に終わりさえすれば習主席は面目が立つが、多数の国がボイコットするようなことがあればどうなるだろう。

 盛大にオリンピックが行われれば政権への求心力は高まり、ウイグルのジェノサイドも止むことはない。共産党統治の優位性が世界に喧伝されることになる。各国選手の出場は中国の傍若無人な振る舞いを助長することになりかねない。平和な世界づくりに逆行するオリンピックは平和の祭典ではない。 ボイコットすべきだろう。  (2021.6.9)

◇教職員の定年延長(6)…やっと成立した

 改正国家公務員法(及び地方公務員法)が昨日(令和3年6月4日)成立した。昨年廃案になりしばらくは無理かと考えていたが、シニア職員の活用と人手不足解消のため急がなくてはならなかったのだろう。

 令和5年度から定年を2年ごとに1歳ずつ引き上げ、令和13年度から65歳となる。役職定年制が導入され、60歳に達した職員は原則として管理職を外すとしている。給与はそれまで支給されていた額の7割程になる。(施行日は令和5年4月1日)

 

    『年度』              『定年』
・令和 4年度(2022年度)   60歳
・令和 5年度(2023年度)   61歳 
・令和 6年度(2024年度)   61歳
・令和 7年度(2025年度)   62歳 
・令和 8年度(2026年度)   62歳
・令和 9年度(2027年度)   63歳 
・令和10年度(2028年度)   63歳
・令和11年度(2029年度)   64歳 
・令和12年度(2030年度)   64歳
・令和13年度(2031年度)   65歳 

 

 役職定年制の導入は今後大きな問題になっていくように思う。管理職のまま延長されることがなければ、その後はどんな職務を担当するのだろう。管理職になってほしい有能な職員が管理職を希望しない状況にならないのだろうか。 (2021.6.5)

◇破滅への道を歩んでいる

 精神疾患で休職した令和元年度の公立学校の教員数が5478人(令和2年12月、文科省公表)となり過去最多になった。現職だった頃も5000人を超えていたが、過去10年間の平均は5143人である。

 2000年に入った頃は2500人程だったが、10年も経たないのに5000人をあっという間に超えてしまった。個人的な資質の問題でないことは明らかだろう。

 精神疾患による休職者がこんなに多いのに、そのための対策となると心許なく思う。長時間勤務や一部教員への業務集中の是正、部活動の外部指導者の活用と健全な実施、少人数学級などは必要な対策と思うが、その他にも目を向けることがある。

 初任者研修、教員免許更新講習、中堅教諭等資質向上研修、各種の教育研究会、教育評価、教職員評価などの見直しも必要である。国の施策や教育現場に根本的な問題があるとの視点にも立ってみるべきだろう。

 産休や病気休職がいても補充できない状況は今に始まったことではない。現職だった頃非常に困ったことがあった。教員志望者減は多忙な職場が敬遠されているとの理由だけではないだろう。多様な問題(課題)を抱える教育現場に光明が見えないということもあるように思う。

 精神疾患による休職者が多数出るようではブラック職場との認識は払拭されない。教員不足は益々深刻になっていくと考えるべきである。現状は破滅するまで破滅への道を歩んでいるとしか思えない。  (2021.6.1)

◇オリンピックの中止を喜ぶ人がいるようだ

 政府への支持が高まっては困るのだろうか。緊急事態宣言の発出が遅いと批判していたのに、発出されると発令日が早すぎて対応できない、時短要請などで多数の飲食店が悲鳴などと緊急事態宣言を批判する人達を多く報じて発出をも批判するメディアに呆れる。政府がどんな対応をしても評価することはないようだ。

 東京オリンピックを「新型コロナの流行下、開催は自殺行為」と批判し、政府のコロナ対応について,「10点満点で2点」と楽天の会長は言い放ち、ソフトバンクの会長は、「国民の大多数が開催延期か中止を希望しているのに、誰が何の権利で強行するのか」、「変異株が蔓延し、失われる命やGDPの下落、国民の我慢を考えるともっと大きな物を失う」との懸念を示したとのことだが、どうしてそんなことが言えるのだろうか。

 「其の位に在らざれば、其の政を謀(はか)らず」と孔子は言ったが、二人は著名人ではあるが、政府の人間でもないし医学への高い見識を備えた医師でもない。自己の思いを披瀝するのも結構だが、オリンピックを目指して頑張っている選手や監督、その他スタッフ、そして、オリンピックを成功させるために準備を進めている組織委員会などの関係者に配慮があって然るべきだろう。

 オリンピックを強行しようとする政府の方針に国民は猛反発、ネット上には非難の声が殺到している。国民の怒りはいよいよピークに達しようとしているなどと独善的な記事を掲載したり、海外の批判や開催反対の記事を頻繁に紹介するメディア、中止を求める署名と要請文を提出した元日弁連会長、「国民の生命や暮らしを守ることとオリンピック開催の両立は不可能(立憲)」、「再延期を決めるべきだ(国民)」など、政局にしようとの意図は感じても社会の安寧や国の名誉の護持といった気持ちは微塵も感じない。

 JOC理事の筑波大学教授は、多くの国民が疑義を感じているのに、政府や大会組織委、JOCも耳を傾けようとしない。そんなオリンピックに開催意義はないと批判したが、多くの国民が疑義を感じているとする根拠は、国民全体を反映するどんな調査から得たのだろうか。開催意義があるから1年延期して開催しようとしているのであり、オリンピックはできるなら開催してほしいのが国民の願いだろう。オリンピックを開催すれば感染が拡大し、中止すれば収束するのだろうか。オリンピック・パラリンピックの中止による経済的損失は1兆8000億円だそうだが、それよりも大事なことがたくさんあるように思う。  (2021.5.26)