以下のような記事に教職経験のある人なら違和感を感じるだろう。他のクラスへの出入り制限は必要である。
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「札幌市立中で他クラス出入り禁止
専門家、不合理と指摘」(4月18日共同通信)
札幌市立の中学校・中等教育学校全98校のうち、休み時間や授業の合間に他のクラスへの出入りを校則などで禁止したり制限したりしている学校が少なくとも49校あることが18日、市への情報公開請求で分かった。学校側はトラブルの防止や、生徒のクラスへの帰属意識を育むことが目的だとしているが、専門家は「合理的とは言えない」と指摘している。
文部科学省は指導方法を記した教員用の手引書「生徒指導提要」で、校則は「社会通念に照らし合理的とみられる範囲内で、学校や地域の実態に応じて適切に定める」としている。
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「合理的とは言えない」と指摘する専門家とはどのような方なのだろう。現職中、不合理と感じたことは全くなかった。出入り禁止といっても教科書や文房具など、友達に借りなければならないこともあるので、一歩も踏み込むなというものではなく、原則禁止というものだった。
出入り禁止は、クラスへの帰属意識を育むというよりトラブル防止が目的だった。クラスの生徒が教室移動などで誰もいない時に入ってもお構いなしならば、学用品の無断借用やいたずら、盗難などの対応は難しい。
他のクラスの出入り禁止は同学年だけを考えてのことではない。1年生の教室に素行不良の怖い3年生が入ってきたら、クラスの生徒は落ち着いて教室にいられなくなる。
他のクラスへの出入りをためらうことなくできる荒れた学校なら、授業中に他のクラスや他学年の生徒が入ってきて授業妨害が起こるかもしれない。授業妨害は事実あったことである。批判するのは勝手だが、教育現場に必要な対応であることを理解すべきだろう。 (2021.12.1)