生徒指導体制が整い、学校に秩序がある時は、保健室が生徒で溢れかえるようなことはまずない。休み時間に訪れた生徒も授業開始前に教室に戻っていく。養護教諭の指導を素直に受け入れ保健室には整然とした雰囲気がある。
しかし、荒れているような時には授業中でも多数の生徒が来室し、休み時間には溢れかえるようなことが常態となる。教室に戻るよう指導されても居座り続け、溜まり場の様相を呈することもある。ベッドをソファー代わりにしたり、上履きを履いたままベッドに潜り込んだり、湿布やカットバンなど無断で使用したり持ち去ったりする。こうなると具合が悪くても相談があっても真面目な生徒は利用できなくなる。ベッドに横になることなどとてもできない。
保健室を閉めるのは問題であると閉めない学校がほとんどだが、養護教諭の言うことを聞かない生徒で保健室が溢れる状況になったら、最悪の状態になる前に迷わず保健室を閉めたのである。そして、職員室でできることは職員室で、生徒の怪我などでどうしても保健室でなければという時には、使用している間入口の鍵をかけたのだった。
しばらく保健室を閉めた後で通常に戻す時には、下のような利用票を用いて勝手に行かせないようにした。
- - - - - - - -
保 健 室 利 用 票
平成 年 月 日
年 組 番 氏名( )
理由
〔 〕
保健室使用上の注意
・騒いだり暴れたりしない。
・指示されたことはしっかり守る。
・健康上の悩み相談にも応じます。
許可者(担任,教科担任,その他)
時 分 氏名 ( )
- - - - - - - -
利用票だけで保健室を正常な状態に戻すことはできない。生徒指導体制を確立し秩序を回復させなければならないのである。秩序が回復してくると保健室が生徒で溢れることもなくなり利用票も必要なくなるが、「養護教諭の言うことが聞けない生徒は保健室の出入り禁止。一歩も近づくな!」との指導は続けたのである。保健室は本来の姿に戻ったのだった。 (2013.7.17)