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本来の姿を取り戻す

「みんなの心に輝く学校をめざして」取り組んだ学校経営、「生き生きとした学校生活のために」取り組んだ生徒指導で感じた課題の解消を念頭に置いて教育問題などを考えます。

◇短時間指導で成果を上げる

 平成24年度から現行の中学校学習指導要領が完全実施になった。旧指導要領に比べると、各教科等の授業時数は980時間から1015時間に増加し、1週間(月~金)の授業時数は28時間から29時間になった。

 5時間授業の日が週に2日から1日(6時間の日が3日から4日)になり、学校は今までも余裕がなかったが、益々余裕がなくなったことと思う。学校によっても違うが、多くの学校の担任教師の持ち時数は週21~22時間になっているだろう。1日1時間程の空き時間では、教材研究や授業準備、校務分掌、学級の事務等の処理もこなせない。そして、放課後は部活動、委員会活動、職員会議、生徒指導等もあり、とにかく忙しい日々を過ごしているのではなかろうか。精神疾患による全国の休職者(教員)は、毎年5千人を超えるが、現状では改善は見込めないように思う。

 現行の中学校学習指導要領は、総則第3の授業時数等の取扱いで、旧指導要領にはなかった短時間指導について次のように言及している。

 10分間程度の短い時間を単位として特定の教科の指導を行う場合において、当該教科を担当する教師がその指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任をもって行う体制が整備されているときは、その時間を当該教科の年間授業時数に含めることができる。

 旧指導要領の頃は望ましくないとされていたため、短時間指導を授業時数に含めることをためらう学校がほとんどだったが、これで5時間授業の日を週に2日にすることが可能になったように思う。学校に余裕が生まれれば、教職員の活力も増し成果も上がる。学校は短時間指導を活用する必要がある。

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足利市では、小中学生だけでなく一般でも論語素読が行われ、論語の町として知られるようになっている。論語素読論語から生き方を学ぶことであり、道徳教育として相応しい。
 素読は短時間の繰り返しが効果的であり、素読週間で実施した素読(毎朝10分、計50分)を道徳の授業時数に含めることができると思う。以前は「道徳や学活を、毎日10分間程度行うことは通常考えられない」との見解文科省により、授業時数に含めることができなかった。

▽国語力(考える力、感じる力、創造する力、表す力、等)すべての学習の基本である。とりわけ漢字が書けて読め、意味が分かることは非常に重要である。
 全学年学級が漢字を集中して学び力をつけることは、漢字への関心を高めるだけでなく学ぶ意欲を高めることにもなる。
 学期に1回ずつ年3回の漢字コンテストを実施している学校なら、毎日10分間の漢字学習(月~金)と20分程のテストで、計4時間を年間授業時数に含めることも可能だろう。

合唱コンクールのための音楽集会や朝や放課後の短時間の練習はどうしても必要である。25分の音楽集会を2回、毎日10分の練習を2週間行ったなら、計3時間を音楽の年間授業時数に含めることもできるのではなかろうか。

▽総合的な学習としての読書については、「生徒の興味や関心で選んだ図書による読書活動、指導計画の位置づけのない活動は、授業時数外の教育活動になることは言うまでもない」との見解に、時数に含めることを諦めた学校がほとんどだった。

 総合的な学習の時間は、生きる力を育むために旧学習指導要領で導入されたものである。
 総合的な学習の時間では、「横断的・総合的な学習や探求的な学習」を通して、「自ら学び、自ら考え、主体的に判断し」、「学び方やものの考え方を身につけ」、「主体的、創造的、協同的に取り組む態度」を育て、「自己の生き方を考える」ことができるようにすることが目標である。読書はこの5つの要素にかかわる生きる力を育む活動である。
 内容の点でも、「問題の解決や探求活動に取り組むことを通して、自己を理解し、将来の生き方を考える等の学習活動が行われるようにする」との提示に反するものではない。伝記や思想といった読書は目標や内容に十分合致する。したがって、読書活動を総合的な学習の時間として指導計画に位置づけ、授業時数に含めることができるだろう。

 今まで特別活動として実施してきた学校行事も、総合的な学習の時間として実施可能なら授業時数に含めることができる。

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 旧学習指導要領では、短時間指導が望ましくないとされたが、違法ではなかったのである。違法なことはやってはいけないが、違法でなければ萎縮することもない。望ましいか望ましくないかは学校が自信をもって判断すべきことなのである。  (2013.5.7)