平成25年7月、国体候補選手の強化のために韓国を訪問した。日本の高校生との剣道交流ということで、忠清北道、全羅北道、慶尚北道、慶尚南道から7校の高校生が集まってくれた。そして、親善試合や合同稽古を行ったのである。
話には聞いていたが、韓国の高校生の強いのには驚いた。速い打ちと手数の多さ、そして、思い切りがいいのである。国体候補の優秀な高校生が、単独高チームにも容易には勝てないのである。連合チームには、残念ながら勝つことができなかったのだが、韓国高校生にも慣れ、思い切りのいい堂々とした試合を展開したのだった。
通訳をしてくれたお嬢さん(高校生ではなかったが、それくらいの年齢)に、「韓国の高校生の剣道は強くてきれい、そして、礼儀も正しい。」と言葉をかけると、「日本の先生が、そう言っていることを韓国の高校生が知ったらとても喜ぶでしょう。韓国の高校生は、日本の高校生がとても礼儀正しくて勉強になる。試合をして楽しいし、気持ちがいいと言っている。」と話してくれた。
国と国の関係はギクシャクしているが、日本人と韓国人は仲良くしなければならない。剣道を通してお互いを知り、信頼関係を深めていくべきである。この交流が一生の思い出になるよう願う、といった趣旨の挨拶が、韓国側からもあったが、申し訳ないと感じるくらいのお気遣いに心から感謝するとともに、親近感を覚えた交流になったのである。
国同士の関係改善が難しいなら、そういう時こそ民間交流が大事なのではと感じさせられた。話したことも酒を酌み交わしたこともない間柄では、物事を前に進めることができないだろう。 (2014.1.30)