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本来の姿を取り戻す

「みんなの心に輝く学校をめざして」取り組んだ学校経営(足利市立中学校)、「生き生きとした学校生活のために」生徒指導主事として取り組んだ生徒指導で感じた課題の解消を念頭に置いて教育問題などを考えます。

◇若い教師に押しつけない

 40年近くも前のことだが、新規採用されて赴任したのに1学期途中で学校に出て来なくなり、わずか5ヶ月で退職してしまった教師がいた。

 講師としての経験もない教師なので、専門教科の指導だけでも簡単なことではなかっただろうに免外教科も担当させたのである。免外教科が相当に負担だったようで、毎日がつらそうだったので飲み会に誘って元気づけたりもしたが残念な結果になってしまった。

 この年赴任した新規採用者は二人でともに男だった。どちらかに免外を担当させようと二人を見比べたら、免外を担当した教師の方が逞しそうに見えたというのが理由と後日知った。大規模校だったので何とかできなかったのかと思う。前途有為な若者の人生を狂わせた猛省すべき出来事である。

 大学を出たばかりの教師では管理職や教務などから話があったら断れないかもしれない。私は2校目に異動した時、英語を担当すると知らされ、やったことないしできないと断った。断らなかったらこの教師と同じになっていたかもしれない。

 40代半ばになって異動先の学校で社会科(歴史)の授業を2クラス4時間担当したことがある。異動前にその旨の話があったので、社会科教師の助言や自作資料、ノートのコピーなどをいただいたので心の準備だけはでき赴任することができた。いざ授業の準備に取りかかると、最初の1時間のために17時間の教材研究、その後も1時間の授業のために4時間の教材研究が必要だった。自作資料や定期テストの問題作りもあり過酷とも思えるほどの負担だった。

 免外教科の担当のことで何度も耳にしたことがあるのが、「若い人にやってもらったらいい」という言葉だった。苦労は若い人にさせ自分達は楽をしようという気持ちを強く感じた。若い方が体力もあり頼んで断られることも少ないかもしれないが、能力や指導力まで高いわけではない。押しつけるようなことをしてはならない。  (2021.5.12)