日本学術会議が新会員として推薦した105名のうち6名が任命されなかった。共産党や立憲民主党、任命されなかった学者、学術会議元会長、メディア(一部)などが任命しなかった理由を明らかにするよう政府に繰り返し求めている。
この問題が連日報じられるので、日本学術会議がどういう存在でどういうことが問題にされているのかが分かるようになった。学問の自由の侵害、任命拒否の違法性、民主主義の危機といった諸々の批判は推薦者全員を任命させ今後も政府に関与させないための行動であることは誰の目にも明らかである。
総理が総合的俯瞰的に判断したと具体的な理由を明らかにしなかったのは賢明である。理由を明らかにしたところで絶対に納得しないし、それを新たな攻撃材料にするだけである。いつまで経っても終わりを見ることができない。
教職の経験では、抜擢と本人が感じるような人事や異動では期待を込めて理由を本人に伝えたりするが、逆の場合には通常その理由を明らかにしない。人事に関与できる管理職の基本的な姿勢だろう。明らかにしないのは本人への配慮でもありしこりを残さないためでもある。
今の状況が続くことは政府にとって厄介迷惑かもしれないが、日本学術会議という組織が国民のためになっているかが今以上に明らかになる。同時に悪しき前例踏襲はしないとの政府の方針は国民に支持されることになる。 (2020.10.15)