稽古中何度も相手に打たせない体勢を取って構えを崩していた時、後ろから近寄ってきた先生(副館長)に、「そんなに自分がかわいいの」と言葉をかけられたことがあった。
その頃は世のため人のために身を捨てて立ち向かえるような人間になりたいとの思いを抱いて道場に通っていたので、非常に恥ずかしい気持ちになった。
幕末の志士たちの多くが剣道を学んでいたが、志士たちの身を犠牲にしても国家社会のために尽くすという高い志と行動力は剣道によって培われた面も大きいだろう。
斎藤弥九郎によって開設された練兵館は幕末の江戸三大道場と言われたが、明治になって剣道は衰退し閉館になった。その後長い年月を経て練兵館は斎藤信太郎を館長として現在地に再興された。門下生に桂小五郎、高杉晋作、伊藤博文、井上聞多などがいたことは誇らしく思える。
今この国に必要なのは剣道精神であると感じている。剣道を学ぶ子どもたちが年々少なくなり残念だが、剣道精神を大いに培ってほしいものだ。剣道を学ぶ子どもたちは国の宝と思えるのである。 (2019.12.2)