部活動指導や生徒指導、保護者への対応、校務分掌などのために大幅な超過勤務を強いられ、身も心も磨り減らす教員の実態が明らかにされている。聖職と言われた教職も今ではブラックと言われるようになってしまった。
教育現場の多忙感は初任の頃から感じてはいたが、先輩の「我々教師には前にも後ろにも子どもがいる」ことを忘れてはならないとの言葉に、これは仕方がないことと長年受け入れてきた。
しかし、このままにできないとの思いも高まり、自分のできることで教職員の負担軽減を図っていくようにしたのは、今から30年ほど前の生徒指導主事になってからである。教職員の精神疾患による休職者数が全国で5千名を越えたと報じられた頃には、現状を深刻に受け止めていた。
生徒指導主事でも教務主任でも負担軽減はできるが、管理職でなければ思い切った対策が取れない。管理職が決意をもって取り組めばかなりの改善ができる。4月から5月にほとんどの学校が実施している家庭訪問があるが、それを止めることにした学校がある。管理職の勇断は称賛に値する。
教育は国家百年の大計とも言われるが、過労死レベルとまで報じられた状態を放置したら、教員志望者が激減するだけでなく、国民の負託にこたえることもできなくなるだろう。 (2019.4.15)