結婚式で江田島五省を引用して祝辞を述べられた方がいた。興味深い内容だったのでその方に挨拶し話を聞かせてもらった。後日、額に納められた五省が届いた。
〇至誠に悖(もと)るなかりしか
(誠意に欠けたことはなかったか)
〇言行に恥づるなかりしか
(恥ずかしい言動はなかったか)
〇気力に缺(か)くるなかりしか
(気力に欠けたことはなかったか)
〇努力に憾(うら)みなかりしか
(努力が足りなかったことはないか)
〇不精に亘(わた)るなかりしか
(怠けてものぐさしたことはなかったか)
五省は、広島県の江田島にあった海軍兵学校の精神を代表するものとのことで、現在は海上自衛隊に受け継がれている。毎晩自習終了後、兵学校と変わらぬスタイルでその日一日の自分を顧み修養に励んでいるとのことである。
アメリカのアナポリス海軍兵学校でも五省が教育に活用されているとのことだ。戦後やって来た第7艦隊の司令官(ウイリアム・マック中将)は、五省の精神に感銘を受け、やがてアナポリスの校長となり訓育の資として採用した。
戦前を否定する風潮は今も続いているようだが、全てが悪かったわけではない。現在に生かせるものは大いに生かしたいものだ。 (2016.5.3)