教職最後の勤務校となった中学校の校長室には、佐藤栄作総理揮毫の扁額が掲げられていた。いつどのような経緯で掲げられたのかなど定かではない。
「聞不若見 見不若知 知不若行」
聞くことは見ることに若かず。見ることは知ることに若かず。知ることは行うことに若かず。学ぶことはそのことを行うまでやって、そこでようやく終わりになるということだろう。
「世の中を変えようと、行動した人だけがこの世の中を変えられる」を信条とする身にとって背中を押してくれるような言葉だった。
学校現場は新たな取り組みを始めようとする時、それまで取り組んでいたことを止めたり縮小せず、そのまま継続してしまうようなところがあり、年々忙しくなっていく。現職中、特に気を遣ったのは教職員の多忙感の解消だった。そのために思い切った学校改革が必要だった。
職業に貴賤上下の区別はないと言われるが、教育職は特別と感じている。魅力的で尊い仕事なのに、失望させるような現状を放置しては志望者が激減してしまう。
※出典「不聞不若聞之、聞之不若見之、見之不若知之、知之不若行之」(荀子)
「聞かざることはこれを聞くことに若かず、これを聞くことはこれを見ることに若かず、これを見ることはこれを知ることに若かず、これを知ることはこれを行うことに若かず」 (2015.12.22)