生徒の問題行動は体育祭や文化祭、あるいは合唱コンクールなどの学校行事で教師が忙しくなっても増えたりしなかったが、各種の研究や現職教育といったことで頻繁に会議が行われたりして忙しくなると、しばしば問題行動が発生した。忙しくても生徒と一緒にいる時間が多ければいいが、少なくなる状況は非常に問題なのである。
生徒指導の研究学校を終えたばかりの学校を訪問し、研究主任をされた方から研究の概要をお聞きしたことがあった。その学校は研究の途中で学校が荒れてしまったのだそうだ。そこで、研究を一時中断し収まりかけたところで再開したとのことだが、研究内容を知り教師は死ぬほど忙しかったろうと想像した。
校内を案内してもらったが、生徒の様子からは荒れはまだ収まっていないと感じた。研究主任はこれからは生徒指導に力を入れなければと話した。生徒指導の研究をして学校が荒れてしまうとは何とも皮肉な結果である。
忙(=心を亡くす)の文字が示すように、忙しすぎると心が失われる(女性の品格「板東眞理子著」)のは確かなことだろう。教師が忙しくて目の前のことだけで精一杯の状況になれば、問題を見逃すなど指導放棄の状態になるのである。
日々の教育活動を充実させるためには、教師に浩然の気が必要である。伸び伸びとしたおおらかな気持ちがあってこそ成果も上がる。忙しい学校にしてはならない。 (2015.2.25)