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本来の姿を取り戻す

「みんなの心に輝く学校をめざして」取り組んだ学校経営、「生き生きとした学校生活のために」取り組んだ生徒指導で感じた課題の解消を念頭に置いて教育問題などを考えます。

◇学校に教育実習生の受入れ義務はない

 毎年5月下旬から6月には、多くの中学校が教育実習生を受入れていることだろう。学校規模にもよるが、少ないところで1~2名、多いところで7~8名、あるいはそれ以上になることもある。期間はほとんどが3週間(4週間もある)である。

 実習の1年くらい前になると、実習希望者から学校に打診があり、その後大学側とのやり取りを経て承諾となるのだが、承諾書などに記された文言に、不快な気分にさせられたことが何度もあった。

 実習費(実習指導費、実習諸経費、実習謝礼金など、大学によって名称は異なる)について、必要か必要でないかといった回答を求めてきたのである。ある有名私立大学は、必要な場合には、通帳に振り込むので、銀行名、口座番号の記載を要求し、このことは教育委員会に確認するとまで記されていたのだった。
            
 この大学には、教育実習終了後、次年度以降の実習をお断りする旨の文書を教育学部長に送付した。

 大学が用意する教育実習費は、通常1万円、多くても1万5千円である。コピーや印刷、文具など、経費はかかるが実習費に不満はない。教育実習生を受入れるのは当然、現場に負担をかけているとの認識も感謝の念もない大学の姿勢が容認できないのである。教職員がこのことを知ったら、どんなに頼まれても実習生の指導を引受けないだろう。

 そこで、そのような大学には、以下のような文書を送付した。

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   ◯◯大学  ◯◯◯◯学長 様

    教育実習について

 教育実習生受入承諾書に記された「その他手続き等について」には、困惑させられました。というより、大変失礼であると思います。今まで本校は、どの大学にも謝礼を要求したことがありません。今後もそのようなことをするつもりはありません。

 教職員は日々の教育活動に身も心もくたくたで、できることなら来てほしくないと思っている人が少なくないのです。指導教員(教科や学級など)には、是非にとお願いして引受けてもらっています。夜遅くまで、あるいは、休日に出勤して指導している指導教員にとって、実習生やその家族、遠方よりお越しくださった大学の先生の感謝や労いの言葉が、何よりの慰労であり喜びなのです。このような指導教員の心情が理解できれば、謝礼伺いが如何に失礼であるかをご理解いただけるのではないかと思います。

 教育実習は単位認定されるものです。授業料を徴収している大学側が、自らの責任において行うべきことですので、附属校や協力校で行うのが本来の姿と思います。本校には、貴校の教育の一部分を担う義務も責任もありません。

 教育実習計画(学校経営「校長」、服務「教頭」、教育計画「教務」、生徒指導「生徒指導主事」などの講話、授業計画など)は、実習校ではなく、大学側が立てるのが本来の姿ですし、教育実習の評価には、実習の観察が欠かせないはずです。したがって、大学の先生は、現場に何度も足を運ぶべきでしょう。現場に姿を見せることなく、実習日誌と指導教員などの評価をもって評価するのは、あまりにも無責任です。

 実習が終わると、立派な教師になってほしいとの願いを込め、担当学級でのお別れ会や教職員との慰労会が開かれたりします。教育に課された使命は、とても厳しく重いものがありますが、それ以上にやり甲斐や喜びがあり魅力的です。教職員はこの仕事に誇りをもっています。

 突然のこのような文書に、さぞかし不愉快な思いをされたとは思います。しかしながら、教育実習に対する現場の思いを、貴職にもご理解いただきたく失礼を顧みず送付させていただきました。

   平成◯◯年◯月◯日   足利市立◯◯中学校長 ◯◯◯◯

  (2014.3.7)