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本来の姿を取り戻す

「みんなの心に輝く学校をめざして」取り組んだ学校経営、「生き生きとした学校生活のために」取り組んだ生徒指導で感じた課題の解消を念頭に置いて教育問題などを考えます。

◇守破離

 「守破離(しゅはり)」、剣道修業のあり方を表現した言葉である。

 「守」とは、技や形など、教えられたことをそれより外れることがないよう忠実に、しかも確実に身に付けること。

 「破」とは、今まで学んできた技や形などが身に付けば、そこから自然に他の良いもの、望んでいる方向へと心が向き、自己の守っていた形を破って一段と心・技の発展に進んでいく。

 「離」とは、さらに修業していく中で、今までの教えにとらわれない独自の新しいものが生まれ、一流一派を成していく。

 守破離の精神は、剣道だけでなく人生においても大切なのだが、実践は難しい。最初の段階の「守」ができないからである。剣道を本格的に学ぶため、入門させていただいた先生の道場にて稽古を続けているが、剣道を習い始めた初心者が教えられる基本が、もう何十年もやっているのに、できていない自分に改めて気づいたのである。

 「身を捨てて打て」、言葉は簡単だが容易にはできない。相手と立ち合ってみると、打たれたくない気持ちがいつの間にか湧き起こり、身を捨てて打てないことが多い。打たれないために、余計なことをすれば乱れてしまう。「思い切って打っていけ」と、子ども達を叱咤激励したことがどれ程あっただろう。子ども達に教えてきたことができないのである。

 教えられたことを、教えられた通りに身につけなければ、力が発揮できないことを「守」は教えている。知識がなければ、考えるよりどころとなるものがないのだから、知恵を獲得することができないのと同じである。「破」「離」への到達は、至難のわざである。 (2013.4.10)