中学生から剣道を始め、もう50年になるが、世の中にこんなに素晴らしいものはないとさえ思っている。
感動体験は人の生き方を変えると言われるが、15年ほど前の稽古会で、現在弟子入りさせていただいている先生の剣道に感動したのである。私を含め多くの方が稽古をお願いしたのだが、打っても打ってもかすりもしない。逆にいなされ返され、軽く打たれてしまうのである。そして、それまで感じたことのない別の世界を感じたのだった。
弱気になれば打たれる。気負えば打たれる。恐れ、迷い、おごり、はやる心など、剣道ではみな打たれる心だが、心を打ち合う剣道への思いが熱くさせるのかもしれない。入門依頼、延べ2万人ほどの方と剣を交えたが、多くの剣友との稽古は楽しみであり励みになる。
剣道が生き方や仕事に大いに役立ってきたことを実感し、剣道精神がこの国を救うとまで考えているのだが、剣道を始める人が年々少なくなり残念である。3年かけても師を探せと言われるくらいなので、生涯の師と思えるような先生は少ないとは思うが、各地に確実にいるのである。剣道を学ぶ人が年々増加していくような時代の到来を心から願う。 (2013.4.1)