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本来の姿を取り戻す

「みんなの心に輝く学校をめざして」取り組んだ学校経営、「生き生きとした学校生活のために」取り組んだ生徒指導で感じた課題の解消を念頭に置いて教育問題などを考えます。

◇校長自身が誇りに思える学校をつくらねば

 教頭はやり甲斐のある仕事だが、校長はもっとやり甲斐がある。若い頃から思い描いてきた学校経営にほとんど制約なく取り組めるのである。

 校長は実務者ではないので一人ではどうにもならないが、教職員の賛同協力を得て学校を経営していけば学校は劇的に変わる。赴任した頃の評判は芳しくなかったが、2年目が終わる頃には来校者(特に業者)に市内で一番いい学校、温もりを感じるとまで言われるようになった。

 学校がいい状態で新校長に後事を託せるのは幸せなことである。以下のような引継をして学校を去ったが、演述書に記載しなかったこと(学校評議員の選任、保健室の利用、宿泊学習や修学旅行、合唱コンクール、防犯ステッカー、通信票、職員の電話対応、資源回収、創立記念式のための積み立て、学校課題など)は、引継メモという形で引き継いだ。

 「西中生っていいよな」と教師たちは自校の生徒を語るが、私も純朴で人なつこくとてもいい生徒と感じていた。どうして悪評が立つような学校になったのか不思議に思った。校長の役目は校長自身が誇りに思えるような学校をつくることだろう。

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     事 務 引 継 終 了 届

 足 〇 中 親 第 〇号
                       平成〇〇 年4月〇〇 日

 〇〇市教育委員会教育長 様  

           引継者 元〇〇市立〇中学校長〇〇〇〇(印)

           引受者 現〇〇市立〇中学校長〇〇〇〇(職印)


 次のとおり校長事務の引継ぎを終了いたしましたのでお届けいたします。


  1 事務引継の期日   平成〇〇年4月〇〇日

  2 事務引継の場所   〇〇市立〇〇中学校 校長室

  3 立会者氏名     〇〇市教育委員会 学校教育課長〇〇〇〇(印)

  4 事務引継事項の概要 別紙事務引継書、引継目録及び演述書のとおり


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     事 務 引 継 書

                      平成〇〇年4月〇〇日


           引継者 元〇〇市立〇中学校長〇〇〇〇(印)


           引受者 現〇〇市立〇中学校長〇〇〇〇(職印)

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     事 務 引 継 書


 私は、平成〇〇年3月31日付退職を命ぜられましたので、別紙目録及び演述書のとおり事務引継をします。

平成〇〇年4月〇〇日


 〇〇市立〇中学校長 〇〇〇〇 様


    元〇〇市立〇中学校長 〇〇〇〇(印)

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     引 継 目 録


1  学校教育法施行規則第15条及び学校教育法施行細則13条及び〇〇市立小中学校文書取扱規程16条第1項に規定する表簿及びその他の重要表簿

(1)管理運営に関するもの
       (校地・校舎等の図面、学校沿革誌、学校要覧、校務日誌、その他関係書類)

(2)人事服務に関するもの
      (履歴書、出勤簿、休暇簿、その他関係書類)

(3)教務に関するもの
       (教育課程表、教科用図書配当表、現職教育、その他関係書類)

(4)児童生徒に関するもの
       (指導要録、卒業生名簿、修了生名簿、児童生徒出席簿、その他関係書類)

(5)調査統計に関するもの
       (学校基本調査、その他関係書類)

(6)経理に関するもの
       (備品台帳、その他関係書類)

(7)給与・旅費に関するもの
       (職員給与台帳、その他関係書類)

(8)庶務に関するもの
       (文書処理簿、その他関係書類)

(9)保健に関するもの
       (健康診断票、その他関係書類)

(10)共済組合に関するもの

(11)振興会に関するもの

(12)給食に関するもの

(13)渉外に関するもの
       (PTA、その他関係書類)


2  諸会計に関する事項

(1)諸会計に関するもの一切


3  学校財産に関する事項

(1)学校財産に関するもの一切


4  その他

(1)人事異動に関するもの(具申書、異動調書)

(2)教職員評価に関するもの(一覧表、報告書)

(3)校印類(職印、その他一切)


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     演 述 書

                〇〇市立〇中学校長 〇〇〇〇

 平成〇〇年4月1日付で、〇〇市立〇中学校の校長を命じられました。以来3年間にわたり、〇〇市教育委員会のご指導の下、熱意ある教師集団に支えられ、PTA役員や保護者、地域の方々のご支援とご協力をいただきながら学校経営に携わることができたのはこの上ない喜びでありました。

 校長として目指したことは、本校を「みんなの心に輝く学校」にすることでした。みんなとは、生徒であり、保護者であり、地域住民であり、教職員です。本校を語る時、誰もが瞳を輝かせ満ち足りた気持ちになる、そんな学校を創ろうと考えました。そのためには教職員の力が引き出され、英知が結集される体制を確立することが肝心であると考え校長としての心構えを知らせました。

 校長のあり方は学校の将来にまで大きく影響します。したがって、一番最初の取組みとしましたが、この心構えは教職員にも必要な心構えであると考えています。その後、その時その時の考えなどを校長室便りに記述し、経営方針の確認や指導の参考に、あるいは教職員の意識改革につながることを期待し配布しました。(資料1)

 特に念頭にあったことは改革でした。日本の将来を危惧する声が飛び交う今日の状況を考えれば、躊躇できない待ったなしでやらねばならないことと考えています。「世の中を変えようと、行動した人だけがこの世の中を変えられる」を信条として職務に当りましたが、教職員一人一人がそれぞれに改革に取組んでいることが、いずれ大きな成果となって現れるものと期待しています。ここでは、校長としてのこれまでの学校経営の一端を述べさせていただくことにします。

1 学校経営について
校訓「強く 正しく 美しく」の設定
 校訓は学校の精神的基盤になるもので、生徒に大きな影響があるのは間違いない。特色ある学校を標榜する学校は多いが、気風を感じる学校は少ない。学校には連綿と受け継がれる精神がなければならない。そのため、本校創立〇〇周年を記念して校訓を設定した。

教育目標「校訓が息づく生徒を育成する」の設定
 教職員と生徒が「強く 正しく 美しく」を精神的基盤として、また、目標として共に歩む学校なら、日々効果的な教育活動が展開され、間違いなく校訓が息づく生徒が育成されるだろう。

2 部活動
 部活動の留意事項(資料2)を地域に配布した。また、部活動振興のため持ち込み資源回収を21年度から実施した。そして、22年度からは地域に呼びかけて実施した。5年後10年後には資金面で部活動をしっかりと支える活動になるよう期待している。

3 安全に対する取組み
 地域安全については平成20年度の〇〇中地区健連協(〇中地区少年健全育成連絡協議会)の協議を経て別紙(資料3)のような取組みが了承された。腕章を着けた人、ステッカーを着けた車が溢れる状況になれば、それが誰にも負担にならず、持続可能な安全対策になる。

4 混合から男女別の生徒名簿へ
 平成21年より、それまでの混合名簿から女子が先の男女別名簿に変更した。理由は別紙(資料4)のとおりである。

5 新学校評価(学校関係者評価)の実施
 平成20年10月に資料5、平成21年10月に資料6、平成22年9月に資料7のように実施した。学校理解に役立ったと感じている。

6 漢字コンテスト(趣旨)
・国語力(考える力、感じる力、創造する力、表す力、等)はすべての学習の基本である。とりわけ漢字が書けて読め意味が分かることは、国語力を向上させる上で重要である。また、読書を奨励していく観点からも大切である。

・全学年学級が漢字を集中して学び力をつけることは、漢字への関心を高めるだけでなく、学ぶ意欲を高めることにもなる。また、生徒一人一人の自信ともなり学校全体の活力(勢い)を高めることにもなる。

・漢字コンテストで培われた力は、やがて卒業生の高い評価とともに本校の評価となって顕れることになる。それは即ち、特色ある学校の創出に寄与することでもある。

 上記のような趣旨に則り、平成21年度より漢字コンテストを実施した。全学級が同じ問題であったが、結果を見ると何の問題もなかった。生徒は熱くなって取組んだ。各学年ごとに成績優秀者を廊下に発表し、優秀3位までの学級はその都度表彰した。問題作りや集計等、国語科が良く対応した。

7 読書の奨励
 朝の静寂の中での読書で、読書好きの生徒を育成することができればその効用は計り知れない。

8 国旗の教室掲揚
 今やこの国の風潮として蔓延しているかのようにも思える、自分本位の考えや行動を改め、「世のため人のために」との考えや行動を大切にし、それを優先していくような人間を育てなければならない。そこで、全教室に国旗を掲げ、別紙(資料8)のような精神を培うことにした。

9 生徒指導
 家庭の力を引き出す観点から全保護者に配布していた「子供を非行にする十ヶ条」(資料9)を全戸に配布した。また、しっかりとした方針を立てて継続した指導が行えるようそれぞれの生徒ごとの支援計画を作成し対応するようにした。

 携帯電話については、20年度より所持率0%を目指した取り組みを始めた。20年度の所持率(7月調査)は62%、21年度は58%、22年度は50%で取り組みの効果は現れている。

10環境整備
 毎年大がかりな職員作業を行っているため、校舎内外の環境は飛躍的に向上した。耐震工事も終了した。21年度の扇風機、22年度には洋式トイレ設置が行われ、今後は第1グランド、第2グランドの整備が必要である。

11定例校長会議の伝達
 定例校長会議での指示指導事項等は教職員に知らせなければならないし、知ってほしいことでもある。言葉では伝えきれないこともあるし聞き流してしまうこともある。そのためA4用紙1枚程度に要旨をまとめてその都度配布した。

12通信票の変更
 平成20年度より市内共通の通信表から本校独自の通信票に変更し、22年度まで使用した。23年度用の通信票は既に完成している。

〇結びに

 新校長には自らの教育理念に基づき前任者にしばられることなく思い切った学校経営をお願いいたします。生徒や保護者、教職員は立派な学校にしたいと願っています。地域の方々は協力的です。新校長の下で本校が益々盛んとなることを、また、教職員各位のご健康とご活躍を衷心よりご祈念し演述といたします。


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 ◇校長の心構え(資料1)

 校長の在り方は、在職中だけでなく、離任後にまで大きく影響する。したがって、校長の考えは学校経営上、教職員に最初に知らせるべきであり、理解されるべきことである。校長の心構えは校長だけでなく、教職員全員に必要である。

①意見を積極的に述べる職員の育成とその環境をつくる
 積極的な発言を奨励すべきである。世の中には沈黙を美徳と捉えているような人も少なくはない。未曾有の教育危機にあるこの時代に、疑問を感じても黙っていて発言しないのは、世の中に不誠実を働いているのと同じである。積極的に発言していくことで、職員の能力は引き出される。意見を述べたり聞く中で教育観(理念)も培われる。意見を表明できる環境は、心の健康や安定に寄与することにもなり、活力あふれる職員を生み出す。したがって、たとえどんな意見でも、意見は意見として尊重すべきであるし、発言したことによって発言者の不利益となるような対応は絶対にしないことである。

②ゆとりのある職場をつくる
 教職員には十分な能力がある。難関な採用試験に合格してきた教職員の力に、疑問との声を聞くこともあるが、私の経験では、教職員の力を引き出せない、活かしきれないがための批判が大半と感じている。目の前に横たわる障害物のために前に進めないこともある。能力を十分に発揮させるためには、障害を取り除くという観点からの実践や配慮も必要である。なかなか解決できない問題も、ゆとりのある職場なら程なく解決できる。

③後輩を育てる考え方を進める
 学校を動かすのは若い教職員である。後輩がやりやすいようにさり気なく力を出す。仕事を押しつけない。それが年上の務めでもあり、自分を向上させていくという考えを浸透させていくことが大切である。残りの教職人生もあとわずかといった年齢に達し、自分のことが終わればそれで終わりではさびしい。

④威張ってはならない
 立場や年齢が上の人に、異を唱えることができる職員は少ない。また、できにくい雰囲気を教育界から払拭できたわけではない。したがって、威張ってはならない。

⑤人を命令で動かさない
    連合艦隊の司令長官、山本五十六の言葉に、「やって見せ、言って聞かせてさせてみて、ほめてやらねば人は動かず」がある。軍隊は命令で動く世界である。海軍の頂点に立った人物が、人は命令では動かないと言っているのである。時には命令が必要なこともあるが、命令という方法はできるだけとらない。命令では、人を真に動かすことができない。

⑥交流(連携)を深める
 学校のために地域や保護者がいるのではない。生徒や保護者、地域のために学校がある。教職員は世間知らずとの批判も時に聞くことがあるが、保護者や地域の方との交流を進めていくなら、そのような批判はなくなるだろう。我々は、教職に就いているからこそ多くの人たちとこのように触れ合える、と交流を深めることが必要である。私は練習試合の時など、半分は生徒を指導していたが、半分は保護者とよもやま話をしていた。この時間は実に楽しい時間であった。

⑦学校経営方針などを知らせる
 開かれた学校づくりの目指すところは教育改革にある。いつでも気軽に学校に立ち入れるといったことは開かれた学校づくりの誤解である。学校の意志を保護者や地域にきちんと説明する。学校がもっている各種の情報を可能なかぎり発信し学校理解を進めていく。保護者や地域の願いなどが、学校運営や教育活動に活かされることが開かれた学校づくりなのである。本校の目指していることを保護者や地域が全く分からないようであれば、本校は開かれた学校とは言えない。

⑧現場からの教育改革
 教育界の声は教育界外に発してこそ、教育効果が上がることもある。青少年を取り巻く不健全な環境を改善したり、健全育成のために見直していかねばならない問題は数多い。そのためにも、教師は沈黙してはならない。青少年がポルノ雑誌などを平然と見られる状況を放置し、一方で青少年に性道徳を説いても意味はない。これからはマスコミ関係者を避けるのではなく、むしろ取り込み、行政などを動かしていくことが必要である。心の荒廃が叫ばれて久しいが、時間はかかっても教育改革を進め、教育環境を整備していくことが大切である。

⑨日常の教育活動を充実する
 信頼が得られてこそ協力も得られ期待もされる。期待される学校には建設的な意見や要望も届く。まず日常の教育活動を充実し、保護者や地域の人達が、学校のために役に立とう、という気持ちになっていただけるようでありたい。当たり前のことが当たり前に行われる着実な取り組みが大切である。

⑩本音と本気
 いじめ解消のためには、何が何でも解消するという強い意志と毅然とした対応が大切だが、自信をもって、信念をもって、混乱や批判にも動じない教育活動の展開が期待され求められている。そのためにも、研修や会議などが本音で語り合われるようにならなければならない。課題・問題を先送りするようでは、教育の荒廃も極まる状況になってしまう。青少年などの引き起こす問題に、心の指導を指摘する声は多いが、本気(心)でやらなくては人の心は響かないし動かない。

⑪積極的な生徒指導は今日的国民的課題である
 今日の青少年にまつわるさまざまな事件や問題を解決するためには、学校、家庭、地域、そして、社会全体が健全育成のために連携していく必要がある。そのために、学校の果たす役割は非常に大きい。学校が問題を抱え込み解決するのではなく、家庭や地域との連携を深めて、同一歩調で対応していく役割を担うのである。そのための専任者(=生徒指導主事)の加配は、どこの学校にも必要であり、ぜひ実現させたいものだ。        

⑫正しい情報を発信する               
 マスコミの情報は、我々の認識とかけ離れたものも多い。また、どう考えても、青少年を不健全な方向へ導き、世に流されて生きることを奨励しているとしか思えないテレビやラジオの放送は、教育の荒廃を助長しているようにも思える。そして、知ってほしい教育の真実は、知る人ぞ知るで終わることも多い。正しい情報は正しい判断を促す。各種会合や文書で、学校は正しい情報の発信に努める必要がある。                      

⑬生徒への指導内容を知らせる
 家庭の協力を得るには、学校での指導内容をその都度知らせることが必要である。知らせなければ学校と家庭が共同歩調を取れない。時に学校と家庭の溝が深まることもあるが、家庭が我々と同じような情報を得ていないこと、そして、学校の指導内容を知らないからということもある。指導内容を知らせることが大切である。

⑭管理職がいないと動かない学校をつくってはならない
 管理職の指示(判断)がなくては動けない学校は学校ではない。すべての教職員が、管理職との気持ちで職務を遂行することが大切である。取るに足らないようなことまで報告させ、一つ一つ管理者が指示するようでは、無責任な人間を生み出すだけだ。管理者よりはるかに有能で偉大な教職員は少なくはない。無為に過ごさせては教育界はもとより日本の損失だ。

⑮支持信頼を得る
 信頼を得るのは簡単である。「自分が得をしよう。楽をしよう。いい思いをしよう。」としないことだ。自分以外がそうなるように考え、それを3年も続けていけば、誰だって尊敬まではされなくも支持される。
   
⑯管理(指導)の念は弱く
 「他人の欠点ばかりが眼につく時は、自分が伸びていない時である。」、「他人の良い点ばかりが眼につく時は、自分が伸びている時である。」と、今は亡き先輩校長よりお聞きした。絶対にそうであると信じていたし、そう考えることが大切とも思っている。
 管理者として教職員の欠点ばかりが眼につく時がある。逆に、良い点ばかり眼につく時もある。本来自分がやらねばならないことを、みんながやってくれている、との気持ちでいる時は良さが見えるが、仕事ぶりに注文をつけたい気持ちでいる時は、欠点ばかりが眼についた。したがって、感謝の念は強くしても、管理の念は弱くすべきである。


 ◇部活動の留意事項(資料2)

 平成20年4月、部活動の更なる発展を期し、以下のような留意事項(方針)を踏まえ、指導に当たることにした。そして、地域にもお知らせした。(約7000戸に配布)

  − 地域の皆様 −
 本校の部活動は、毎年立派な成績を収めるなど、輝かしい実績を残していますが、今後、下記のような「留意事項」を踏まえ、一層の発展を図る所存です。皆様から、今まで以上にご声援を送っていただけるような部活動にするため、本校の方針をお知らせすることにしました。(平成20年6月1日 足利市立西中学校長)

◇技術よりも礼儀作法
 新入部員に最初に教えることとして上級生に指示したことは、礼儀作法だった。素振りや打ち込みはその後にやることだった。礼儀作法は、人間関係を発展させるばかりでなく物事を成就させる源、人としての生き方の基本である。これができないようであれば、何をやっても成功させることはできない。技術を指導することよりも、礼儀作法の指導を優先すべきである。

◇人間関係を育む
 部活動には全く関係がない下級生だけに制限を加えるような決まりに気づくことがある。人間関係を妨げるような決まりは早急に改善すべきである。
 溺愛されて育ってきている生徒がいるが、そういう生徒は一つの例外もなくわがままで、注意を素直に聞けない。また、思いやりや感謝の気持ちに欠けるようだ。したがって、人間関係がうまくいかない。部活動は人間関係を育む場でなければならない。

◇選手以外も大切
 選手のみを相手にしてはならない。プロの世界なら分からぬでもないが、部活動は教育活動である。教育は一人一人の成長を期して行うものなので、選手以外は鍛えない、眼中にないようであってはならない。部員の月謝で自分の生活ができていると考えたら、選手以外がやめていくような指導は絶対にできないはずだ。

◇強豪より学ぶ       
 ずい分前のことだが、練習を一生懸命にやっているのに勝てなくて悩んでいた生徒がいた。この生徒は、負けない剣道ばかりをやっていたのである。打つ機会なのに打たないのだから勝てない。そこで、他校のある生徒の試合を見るよう指示した。生徒は、何試合もずっと見続けていた。それからこの生徒の試合ぶりは別人のように変わっていった。そして、誰もが称賛し注目する剣風が培われた。
 明治大学野球部の島岡監督(故人-野球ファンなら知らない人がいないくらいの有名人で、中日や阪神で監督を務めた星野監督など多くの野球人を育てた。 
信念をもった指導ぶりは、聞くものをうならせてしまう。)は、「弱点を克服すれば、長所が一層伸びる」と話していた。バッティングは良いが、脚力に難点のある学生の脚力を鍛えたら守備範囲も広がり、守備が良くなった。守備が良くなると、自信がつくのかバッティングが益々良くなったとのことである。
 強豪と言われる学校の指導者や部員からは、学ぶことがとても多い。そこには確固たる理念があるものだ。「上には教われ下には学べ」、謙虚に学ぶ姿勢をもち続けたいものである。

◇自信をつけさせる
 部活動で生徒に自信をつけさせたいものだ。自信をもって生きる生徒とそうでないのでは日々の活力に明らかな差が出てくる。勝っても負けても、自分の力を発揮できれば自信がつく。力を発揮するために重要なことは、試合での緊張は楽しむようにする。気持ちを整えて試合に臨ませる。気持ちを整えるには、用具の点検や掃除等が効果的だ。そして、強気で立ち向かうことが最も大切である。

◇無理をしない
 孟子の譬(たと)え話にこのような話がある。自分のところの苗が伸びていないのを心配して、早く伸ばそうと引っ張った人がいた。一日中苗を引っ張り、疲れ果てて帰宅して、「今日は疲れたよ。私は苗の成長を助けてやったからね。」と話したので、家族が走って行き、苗を確かめると皆しおれていた。世の中には、子どもをそうやって成長させようとする人が少なくない。無理に成長(上達)させようとしても、効果はなく、かえって害を与えてしまうことになる。

◇強くなるために              
 「勝ちに不思議な勝ちあり」、「負けに不思議な負けなし」と言われるが、負けた時程勉強になることはない。負けの反省を生かした着実な活動が大切だ。試合は誰だって勝ちたい。負けたくないのは分かるが、負けを極端に恐れたり、許さない雰囲気を作り出すと、実力を発揮できなくなる。負けることによって強くなっていくという視点は大切だろう。

◇選手の素質
 選手の素質として、体格や運動能力を挙げる人は多いが、体格や運動能力はほんの一部分に過ぎない。重要なのは精神面である。本校にも在職した卓球の監督は、体格や運動能力に劣る生徒も区別なく指導し、そして、豊富な練習量で、各種大会に大活躍させた。異動した先々の学校で、県優勝をさせた偉業は真似のできることではない。彼が育てた選手を見れば、体格や運動能力は、素質の一部分に過ぎないことを誰もが認めざるを得ないだろう。

◇精神を鍛える
 夏であれば涼しい時間帯に、冬であれば寒さのやわらぐ時間帯に練習した方が効果はあると思う。しかし、昔から暑い時期なら、その最も暑い時に練習する土用稽古、寒い時期ならば、最も寒い時に行う寒稽古が続けられている。効果の上がらないこのような時になぜ行うかといえば、精神を鍛えるにはとてもよいからだ。そのような練習もあってよいだろう。

◇時には後ろを振り向くことも
 「人の生きる道は曲がっている。曲がりながら進むのが真っ直ぐで正しい道なのだ。曲がっている道から見れば、真っ直ぐな道こそ曲がっている」と荘子は語っている。前ばかり向いて、強引に突っ走ってばかりいると、後ろを振り向いたら何人もの生徒が泣いていた、ということにもなりかねない。強くすることよりも好きにすることが重要である。時には生徒が大人であったら、自分の学校の生徒でなかったら、こんな叱り方ができるか、と考えることも大切だろう。

◇感謝の心を
 水泳の平泳ぎでオリンピックの金メダルを獲った人が、ある有名なスケート選手について、オリンピックでメダルを取れないと話した。事実取れなかった。世界選手権等、各種の大会で大活躍していたが、本番で惨敗してしまった。
 取れない理由に挙げたのは感謝の心だった。世界的な選手ともなると、その選手用の競技服を作る等、スポーツメーカーが協力してくれたりするそうだ。作ってくれた服を、着ては脱ぎ捨て、着ては脱ぎ捨て、不具合を言い立てる姿を目の当たりにし、作った人に対する配慮や感謝の気持ちが全く感じられなかったとのことだった。その選手は、次のオリンピックで見事にメダルを獲得した。4年間に、いろんな人の教えを受けたりして感謝の心が培われたのであろう。
 それまで私は、感謝の心について部員に話したことがほとんどなかったが、その後しばしば話すようにした。大事なことが抜けていた、と感じたからだった。「自分がこうして試合ができるのは、成長できたのは、先輩や後輩、道場の先生、練習試合等で胸を貸してくれた他校の仲間達、そして、何よりも家族の応援や協力のお陰である」と。そんな指導をするようになってから、やっと県大会で優勝することができた。

◇強くなった時
 強くなると、練習試合を度々申し込まれることになるが、全部受けていると、生徒が疲れ切ってしまう。燃え尽き症候群と言われるような状態になってしまう。いかに間引いていくかが大切である。弱かった時にお願いして受けてもらっていたので、受けざるを得ない状況もあるが、そこを何とかしないとならない。「一生懸命にやれば好きになる。好きになれば長く続く。長く続けば本物になる」が、練習過多の状態が続けば、一生懸命の気持ちは失われ、逆に嫌いにしてしまう。長く続けられるようにしていかなければならない。

◇敗者に敬意を
 旅順攻略戦で指揮をとった乃木陸軍大将は、敗軍の敵将ステッセル司令官に、帯剣をさせて写真を撮らせた。後々まで恥をさらすような写真は、敵将に対し無礼である。そんなことは日本の武士道が許さないと。当初写真撮影に応じなかったが、外国人記者団の強い要望に渋々応じたとのことである。
 柔道の国際大会で、相手をぶん投げ、体にのった状態でガッツポーズをした選手がいたが、外国選手ならともかく、日本人はやってはいけない。敗者にも敬意をはらいたいものだ。

◇部活動には人生(哲学)が詰まっている
 入部したからには、上手になりたい、強くなりたいと、誰もが一番に考えていると思ったら、そうでもない生徒がいた。当初はそうでも途中から変わってしまったのかもしれないし、最初からそうだったのかもしれない。
 友達をつくりたい、友達と楽しい時間を過ごしたい、今まで続けてきたのでもっと上手になりたい、選手になりたい、やってみたかった、兄弟や父母に勧められた、心身を鍛えたい等、部活動入部の動機は、それぞれである。指導者としては、こういった動機や部活動への期待を把握しておく必要はあるだろう。
 学校生活で最も大切なのは学習成績であって、部活動には大した意味(意義)を感じていない人もいると思うが、部活動の思い出作文には、「信頼できる友達ができた。礼儀や作法、言葉遣いを学べた。みんなに励まされ続けることができた。友達や先生に感謝していること」等の記述を目にすることも多い。そして、「嫌になっても逃げ出したら何も得られない。喜びは苦難を乗り越えて得られる。己に勝ってこそ相手にも勝てる。自分に自信がもてなくては力を発揮できない」といったこと等を体験からつかみ取っていることも確かなことだろう。

◇地域活動に協力を
 地域活動(育成会活動等)は、これから益々脚光をあびていくことだろう。各種の地域活動が盛んとなり、青少年の健全育成のために協力していきたいものである。地域の体育祭等の大行事は、できるかぎり部活動を中止したいものだ。

◇部活動と学習の両立は可能
 部活動が忙しく学習する時間がとれない,睡眠時間に影響が出てくる、といった声を時々耳にしてきたが、部活動と学習は十分両立が可能である。各部の選手として大活躍し,希望の高校へ入った生徒はたくさんいる。成績向上のために部活動を辞めた生徒が何人もいるが、成績が向上した生徒を見たことがない。心身を鍛え、生き生きとしている生徒の方が、学ぶ意欲・気力に勝るのは確かなことである。足工大の小林敏孝(としのり)教授(足工大睡眠科学センター長)は、頭を良くしたいなら運動をさせなさい、と言っている。これは科学的に証明されていると語った。

◇治療を優先
 治療させたいが退部させられると困るのでできない。治療のため部活動を休ませてほしいといった声も耳にすることがある。学校から治療するようにと連絡のあった目・鼻・歯などは,できるだけ1学期中に完治させたいものだ。長期休業中に治療しようと思っても,急に練習試合が組まれたりして、結局難しい。目や歯などを完治させた方が熱も入るだろう。

◇家族旅行
 子どもが中学校に入学したら、家族旅行も行けなくなってしまった。気兼ねなく安心して家族旅行ができるようにしてほしい、という声も耳にする。大会前に家族旅行なんて聞いたら、今まで指導してきた者としては、気分が悪くなることもあるが、それ以外なら好きにさせてやることも必要だろう。親子の断絶などと言われる時代なればこそ配慮していきたいことである。

◇部活動の原点(勝利至上主義を廃す)  
 教職について以来、20年以上も剣道部だけを指導してきたが、剣道部のない学校に赴任し、バスケット部の顧問をしたことがある。素人が指導するのでとても大変だった。しかし、バスケットの顧問になったことに感謝できる日が間もなく訪れた。
 勝たせるために、厳しい指導を続けてきたことを大いに反省させられたのだ。地区大会での一勝に、涙を流して喜び自信をつけていく生徒達。どうしたらもっと上手になれるのか、強くなれるのか、と瞳を輝かせて話し合う生徒達に、忘れていた部活動の原点を見た思いがした。そして、自分の役割はバスケット大好き人間を作ること、大好き人間の輪を広げること、と感じたのだった。勝つことは目標であって目的ではない、ということを忘れずにいたいものである。

◇素人監督でも勝てる
 バスケット部の監督に、「先生、来年はバスケットの先生が来るんですか?」と聞いた部員がいた。この監督は、相当なショックを受けたようだ。「バスケットの顧問など引き受けたばっかりに……」との思いをしたことだろう。聞いた部員に悪気はなさそうで、取り立てて騒ぐことでもなかったのかもしれないが、そのままにしておくことは部員のためにもならないと考え、次のような文書を保護者に配布した。
    ― ― ― ― ― ― ― ―
 バスケット専門の職員が来年来てくれれば私たちもありがたいのですが、その可能性はかなり低いと思います。バスケット専門の顧問でないと上達しない、勝てないということならば、今後本校は、専門家が来るまで絶対に勝てないということになってしまいます。

 私は、剣道をやっていますが、中学も高校も素人監督で、ほとんど稽古をつけてもらえなかったのですが、高校の県大会で優勝しました。本人の努力で、ある程度力をつけることは可能と思います。バスケット専門の顧問でなければとの気持ちでは、勝てる試合も勝てなくしてしまうのではないかと思います。

 本校の部活動は、大規模校のように種類を多くすることができません。バスケットをやりたがっている男子が多数いるのに、やらせてやることができません。職員が少なすぎるのです。そして、職員の仕事は大規模校に比べて非常に多いのです。校務分掌は、大規模校なら1つか2つで済むところをその数倍ももっています。したがって、練習を見てやりたくもできない状況があるのです。生徒にとっても職員にとっても不幸なことと思いす。

 毎年4月になると、転勤でいなくなった部の顧問を転勤して来た職員にお願いします。なぜお願いするかは、命令することができないのです。部活動の主たる活動は、勤務時間外や日曜・祝日などの勤務を要しない日や時間であるからです。顧問のなり手がいなければ、即廃部を検討しなくてはならない現状です。私たちがバスケット顧問になったのも、部員がいるのに廃部では気の毒と思ったからでした。

 自尊心は誰にもあります。私も剣道の世界であれば、黙っていてもそれなりに敬意をはらってくれる人がいます。素人というだけで軽んぜられ、そして、それを受け入れるような卑屈な生き方はできません。自尊心を傷つけるようなことでは、顧問をお願いしても断られてしまう結果を招きます。

 剣道を学ぶために、学区外通学をしている生徒を今までにたくさん見てきました。こういう選択の失敗を私は知りません。成功例ばかりです。遠距離なので家族の協力がなければできないのですが、検討の余地はあるでしょう。しかしながら、そのような対応ができる家庭は少ないと思います。そこで、近隣の学校同士が協力し合って部活動を行えれば、家族の負担も少なく、十分な活動をさせてやれるのではないかと思っています。早くそういう体制を整えたいものです。
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 その後、そのような言動は一切なく勝つこともできた。1年生大会で優勝し、県大会にも出場した。バスケット部が創設されて38年間、一度も県大会に行ったことがなかった学校だったが。記録を調べてみると、各種大会で入賞したのは、38年間で3位が2回だった。素人監督だって勝つことができる。帝京高校サッカー部の小沼監督も、明治大学の島岡監督も、競技経験のない素人監督だった。

◇誇りをもって
 野球部監督に、保護者が失礼な言葉を浴びせたとの報告を聞いた私は、今後そのような言動があった時には、試合を放棄して帰校しろ、と監督に指示した。卑屈になって、バカにされてまでやる必要はない。これは職務命令であるとつけ加えた。そして、副顧問に野球部の全保護者に伝えさせた。以後失礼な言動は一切なくなった。

◇顧問への配慮
 顧問のやる気が失われるのは、部員に見下されてしまったり、指導の批判をされたりすることだろう。剣道7段の指導員が、部員のいる前で、顧問を軽視した発言をしたことがあった。足らないところを補助してやるべきで、けなしてしまうと、やりたくないという気持ちになってしまう。学校の事情で、好きでもないのに、専門でもないのに引き受けているという事情も理解し、配慮していくことが必要だろう。


 ◇安全な地域(資料3)

 小中学生や幼い子どもを狙った犯罪がしばしば発生する状況に、小中学校では不審者への対応訓練などが行われている。子どもを子どもだけで屋外で遊ばせられない、留守居や使いもさせられないと考えている保護者は少なくない。

 こんな情けない状況を一刻も早く解消し、昔のような風景が見られる世の中にしなければならない。そのため、西中地区少年健全育成連絡協議会は、三重・山前地区を、県内はもとより日本で最も安全な(防犯の模範とされるような)地域にするため、以下のような新たな取り組みを行うことにした。(平成20年7月)

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◆車用防犯ステッカー

 防犯意識の昂揚と防犯効果、地域意識(連帯感)を高めるため、ステッカーを作成し、生徒の家庭や地域に配布する。

 地域安全・防犯協力車
  足利警察署 西中健連協    (赤地に白抜き文字)

※平成20年度と22年度にそれぞれ2000枚作成した。腕章に比べ、ステッカー貼付に抵抗を感じる人は少なく、ステッカーを貼った車を見かけることが多くなっている。
      ↓

◆腕章(平成25年度頃検討)

 どこの学校でも、児童生徒の帰宅を出迎えられる家庭には、出迎えをお願いし、地域には、散歩などを登下校時刻に合わせられる方には合わせていただくようお願いしている。地域の方々が多数戸外に出ている状況は、これだけで防犯上かなりの効果があると思われる。

 現在警察官がつけているのとほぼ同じ「地域安全」の腕章をつけると、さらに効果が上がるとのことである。また、地域の方々に児童生徒への声かけをお願いしても、「見知らぬ人の声かけに応じない」といった指導もあってか、声をかけても足早に通り過ぎる状況があるとのことだが、それも改善できるのではなかろうか。

   地域安全
 足利警察署 西中健連協    (警察官と同じ緑地に黒字の腕章)

※腕章をできるだけ多くの方々に配布したなら、腕章をつける人には地域貢献の意識が、不心得な人間には、抑止効果も期待できるだろう。地域が腕章をつけた人であふれる状況になったら、その効果は計り知れない。
    ↓

◆各種ステッカー(10年後、20年後に検討)

地域安全・防犯協力店(仮称…商店に貼付依頼)

地域安全・防犯巡回中(仮称…職員や保護者の校外指導に使用)

地域安全・防犯推進地区(仮称…蛍光のものを電柱などに貼付)



 ◇生徒名簿(資料4)

 以下のような考えから、西中学校の生徒名簿を男女混合名簿から男女別名簿(女子が先、男子が後)に変更した。(平成21年度)

 

男女混合名簿は、男女共同参画社会の実現のために導入(10年程前に)されたが、各種検診や教科指導、あるいは事務のために男女別名簿が必要だった職員は、今まで不便を強いられてきた。                     

▽混合名簿導入以前は、男子の後に女子が続く男女別名簿であった。名簿に限らず世の中は、男子が先、女子が後という観念が広く定着していたようである。未だその観念が払拭されたかどうかは定かではないが、本校は女子を先にし、男子を後にする男女別名簿なので、混合名簿より効果的である。

▽混合名簿は男女共同参画社会実現の旗印にされてきたが、名簿のみでその実現を図ることはできない。男女共同参画社会を実現する学校としての取り組みは、以下のような学習指導要領が示すところの確かな実践である。

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◆男女は互いに異性についての正しい理解を深め、相手の人格を尊重する。
 男女が社会の対等な構成員として、自らの意志によって社会のあらゆる分野における活動に、参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会の実現が求められている。(道徳の内容と解説より)

◆男女相互の理解と協力
例えば、男女相互の理解と協力、人間尊重と男女の平等、異性交友の望ましい在り方、男女共同参画社会と自分の意識などの題材を設定し、アンケートやインタビューをもとに話し合ったり、新聞やテレビ等の資料をもとに話し合ったり討論したりして展開していくことが考えられる。(学級活動の内容と解説より)

◆技術・家庭
技術を男子、家庭を女子が学習した時代は随分前のことである。今は男子も調理実習をするなど、家庭を学習する。女子も技術を学習する。(技術分野、家庭分野からそれぞれ8項目必修)


 ◇みんなの心に輝く学校Ⅰ(資料5)

 みんなの心に輝く学校づくりのため、以下のような調査(各質問の具体像から4個以内を選択)を行った。調査結果は、学区内の全戸(約7000戸)に配布した。(調査-平成20年10月-足利市立西中学校)

 『目指す学校像・望まれる学校像』

◆どんな学校であってほしいか(にしたいか)

*互いに助け合う(協力し合う)学校
 教職員… 10人  生徒…173人  保護者…171人

*生徒と教師が信頼関係で結ばれている学校
 教職員… 21人  生徒…146人  保護者…313人

*明るく和(なご)やかな雰囲気がある学校
 教職員… 16人  生徒…221人  保護者…133人

*運動や学習に励める学校
 教職員… 12人  生徒…113人  保護者…168人

*けじめのある(校則が守られる、親しき中にも礼儀有りの)学校
 教職員… 23人  生徒… 87人  保護者…130人

*個性を大事にする学校
 教職員…  2人  生徒…127人  保護者… 76人

*活力のある生徒が育つ学校
 教職員…  7人  生徒… 32人  保護者… 53人

*いじめなどがなく安心して登校できる学校
 教職員… 17人  生徒…231人  保護者…277人

*楽しい行事がたくさんある学校
 教職員…  1人  生徒…260人  保護者… 15人

*あいさつがしっかりできる学校
 教職員… 13人  生徒… 83人  保護者…147人

*教師が活躍できる(思い切って仕事ができる)学校
 教職員…  5人  生徒… 21人  保護者… 31人

*環境が整備された(施設設備が充実した)清潔な学校
 教職員…  9人  生徒…129人  保護者… 53人

*信条としているものがある学校
 教職員…  5人  生徒…  5人  保護者… 17人

*その他
 教職員…  0人  生徒…  12人  保護者…  7人

・大人になっても誇りに思える学校 ・たくさんの運動部がある学校 ・意見が反映される学校


 『目指す教師像・望まれる教師像』

◆どんな教師であってほしいか(になりたいか)

*実力(教え方が上手、クラスを上手に掌握、部活の指導力など)のある教師
 教職員… 19人  生徒…212人  保護者…190人

*生徒や保護者の心が見える(勝手な見解で決めつけない、話を良く聞き考えるなど)教師
 教職員… 10人  生徒…155人  保護者…197人

*信念のある教師
 教職員… 13人  生徒… 63人  保護者… 59人

*良識のある教師
 教職員… 10人  生徒… 28人  保護者…100人

*やさしい(生徒の悩みなど、親身になって考える)教師
 教職員…  4人  生徒…220人  保護者… 76人

*情熱のある(一緒に泣いたり笑ったり、部活動に熱心など)教師
 教職員… 12人  生徒…128人  保護者…128人

*生徒の気持を尊重する(権威で押さえつけない、一人一人に目線が合わせられる)教師
 教職員…  9人  生徒…158人  保護者…188人

*生徒の心に火をつける(やる気を起こさせる)教師
 教職員… 13人  生徒… 78人  保護者… 96人

*人格円満で親しみやすい(相談しやすい、話しかけやすい)教師
 教職員…  5人  生徒…179人  保護者… 95人

*公平な(えこひいきをしない、生徒の悪口を言わない)教師
 教職員…  6人  生徒…221人  保護者…209人

*誠意のある教師
 教職員… 12人  生徒… 17人  保護者… 81人

*雑学も身につけたおもしろい教師
 教職員…  3人  生徒…186人  保護者… 46人

*物事の本質が分かる教師
 教職員…  5人  生徒… 24人  保護者… 49人

*その他
 教職員…  1人  生徒…  6人  保護者…  9人

・教えることに喜び楽しむことができる教師 ・生徒のために本気で怒ってくれる先生


 『望まれる管理職者像』

◆どんな校長・教頭であってほしいか

*話を聞いてくれる管理職者
 教職員…  7人  生徒… ――   保護者…118人

*ゆとりのもてる学校をつくる管理職者
 教職員… 12人  生徒… ――   保護者… 65人

*制度的権威(職権)でなく人格的権威(人格)で人を動かす管理職者
 教職員…  6人  生徒… ――   保護者…154人

*威張らない管理職者
 教職員…  2人  生徒… ――   保護者… 50人

*職員との信頼関係を高められる管理職者
 教職員… 16人  生徒… ――   保護者…167人

*教職員を信頼し、任せるところは任せる管理職者
 教職員… 13人  生徒… ――   保護者…101人

*力強く学校を引っ張る(指導力のある)管理職者
 教職員… 11人  生徒… ――   保護者…103人

*人格円満な管理職者
 教職員…  5人  生徒… ――   保護者… 69人

*職員の心が見える管理職者
 教職員…  8人  生徒… ――   保護者… 41人

*信念(教育理念)がある管理職者
 教職員…  8人  生徒… ――   保護者… 47人

*本質を大切にする(表面的なこと、形式に捉われない)管理職者
 教職員… 20人  生徒… ――   保護者…172人

*教師や生徒と一緒に行動できる管理職者
 教職員…  8人  生徒… ――   保護者…217人

*その他
 教職員…  2人  生徒… ――   保護者…  2人


 『目指す生徒像・望まれる生徒像』

◆どんな生徒であってほしいか(になりたいか)

*失敗を恐れない生徒
 教職員…  2人  生徒…135人  保護者… 91人

*話を素直にしっかり聞く生徒
 教職員… 19人  生徒… 85人  保護者…123人

*目上の人を敬う(言葉遣いがきちんとできる)生徒
 教職員… 10人  生徒… 94人  保護者… 99人

*率先して行動できる(言われる前に行動できる)生徒
 教職員…  7人  生徒… 83人  保護者… 54人

*意見をしっかり言える(他人に惑わされない、自分の意志がある)生徒
 教職員…  6人  生徒…140人  保護者…212人

*礼儀作法(あいさつ・返事など)ができる生徒
 教職員… 17人  生徒…132人  保護者…215人

*大きな目標をもって(ねばり強く努力する、向上心がある、決めたことをきちんとやりとげる)生徒
 教職員… 15人  生徒…148人  保護者…184人

*他人の気持を大切にする(相手の立場になって考え行動できる、他人の痛みが分かる)生徒
 教職員… 24人  生徒…126人  保護者…232人

*正直な(裏表のない)生徒
 教職員… 10人  生徒… 76人  保護者… 80人

*誰とでも仲良くできる(友情を大切にする)生徒
 教職員…  2人  生徒…165人  保護者… 62人

*運動と勉強を両立できる生徒
 教職員…  4人  生徒…186人  保護者… 57人

*強く優しい(誰にでも親切、思いやりがある)生徒
 教職員… 10人  生徒…149人  保護者…134人

*元気はつらつ頑張る(苦手なことにも一生懸命、学校を休まない)生徒
 教職員… 10人  生徒… 87人  保護者… 70人

*その他
 教職員…  1人  生徒…  8人  保護者…  9人

・命を大切にできる子ども ・社会のマナー、エチケットが守れる生徒


 『目指す家庭像・望まれる家庭像』

◆どんな家庭であってほしいか(にしたいか)

*子供の前で学校や教師の批判をしない(子どもの友達も批判しない)家庭
 教職員… 21人  生徒… 73人  保護者… 49人

*保護者会には必ず出ようと心がける家庭

 教職員…  3人  生徒… 25人  保護者… 10人

*父性原理(きびしさ=厳父)、母性原理(やさしさ=慈母)が働く家庭
 教職員… 10人  生徒… 53人  保護者… 37人

*家事手伝いをさせる家庭
 教職員…  6人  生徒… 74人  保護者…100人

*嘘(うそ)をつかない家庭
 教職員…  7人  生徒…152人  保護者…221人

*子供を放任しない(叱る時には叱る)家庭
 教職員… 24人  生徒…109人  保護者…202人

*子供を他人や兄弟などと比較しない家庭
 教職員…  1人  生徒…219人  保護者… 51人

*早く家に帰りたいと思う(笑いが絶えない、親子の仲が良い、やさしさや思いやりがある)家庭
 教職員… 15人  生徒…178人  保護者…170人

*子供に意見を押しつけない(口うるさくない、子どもの希望進路を否定しない)家庭
 教職員…  4人  生徒…194人  保護者… 70人

*子供に過剰な期待をしない家庭
 教職員…  3人  生徒…130人  保護者… 54人

*家族そろっての食事を心がける家庭
 教職員…  8人  生徒… 93人  保護者…109人

*子供の話をしっかり聞く(何でも話し合える、学校の出来事をよく知っている)家庭
 教職員… 16人  生徒…168人  保護者…285人

*あいさつを交(か)わす家庭
 教職員… 11人  生徒… 67人  保護者…121人

*その他
 教職員…  0人  生徒… 17人  保護者…  7人

・子どもが迷ったり、立ち止まった時に受け止めてやれる家庭 ・安心できる家庭


 『目指す地域像・望まれる地域像』

◆どんな地域であってほしいか(にしたいか)

*交流が盛んな明るい(あいさつが飛び交う)地域
 教職員… 20人  生徒…215人  保護者…210人

*仲間意識をもってまとまれる(対立や蔑視がない)地域
 教職員… 12人  生徒…159人  保護者…115人

*子供参加の活動を維持発展させる地域
 教職員…  3人  生徒… 81人  保護者… 42人

*長幼の序(ちょうようのじょ=年齢の上下のけじめ)をわきまえる地域
 教職員…  7人  生徒… 62人  保護者… 47人

*青少年の健全育成に関心をもつ(悪いことをしたら注意する)地域
 教職員… 25人  生徒… 88人  保護者…239人

*行事などへの参加を無理強いしない地域
 教職員…  3人  生徒…126人  保護者… 47人

*学校教育活動に協力を惜しまない地域
 教職員… 16人  生徒… 54人  保護者… 64人

*恐いことがおきない安全な地域
 教職員… 15人  生徒…318人  保護者…342人

*きれいな地域
 教職員… 13人  生徒…271人  保護者…108人

*その他
 教職員…  0人  生徒…  5人  保護者…  3人

・大人になってからもずっと住みたいと思えるような地域


 ◇みんなの心に輝く学校Ⅱ(資料6)

 学校改革のため、以下のような調査「各質問には、『はい』(そう思う、どちらかと言えばそう思う)か、『いいえ』(そうは思わない、どちらかと言えばそうは思わない)のどちらかで答える方法をとり、『はい』と答えた人数を百分率で表した。」を行った。昨年の調査に関連(教職員、生徒、保護者の多くが願った6項目)るものであり、今年も調査結果を学区内の全戸に配布した。(調査…平成21年10月-足利市立西中学校)

◆(西中は)どんな学校であると思いますか。

*互いに助け合う(協力し合う)学校である。
   『はい』(そう思う、どちらかと言えばそう思う)
 教職員… 87%  生徒… 80%  保護者… 85%

*生徒と教師が信頼関係で結ばれている学校である。
 教職員… 86%  生徒… 63%  保護者… 70%

*明るく和(なご)やかな雰囲気がある学校である。
 教職員… 83%  生徒… 80%  保護者… 88%

*けじめのある(校則が守られる、親しき中にも礼儀有りの)学校である。
 教職員… 50%  生徒… 58%  保護者… 77%

*いじめなどがなく安心して登校できる学校である。
 教職員… 57%  生徒… 74%  保護者… 61%

*あいさつがしっかりできる学校である。
 教職員… 73%  生徒… 89%  保護者… 80%

※「互いに助け合う学校」、「明るく和やかな学校」など、肯定する割合が高いのは望ましいが、「いじめなどがなく安心して登校できる学校」と肯定する生徒は74%であり、26%はそう思っていない。生徒の回答が100%になるような学校にしたいものだ。


◆(西中の教師は)どんな教師であると思いますか。

*実力(教え方が上手、クラスを上手に掌握、部活の指導力など)のある教師である。
   『はい』(そう思う、どちらかと言えばそう思う)
 教職員… 90%  生徒… 79%  保護者… 69%

*生徒や保護者の心が見える(勝手な見解で決めつけたりしない)教師である。
 教職員… 83%  生徒… 61%  保護者… 63%

*信念のある教師である。
 教職員… 90%  生徒… 79%  保護者… 73%

*情熱のある(一緒に泣いたり笑ったり、部活動に熱心など)教師である。
 教職員… 90%  生徒… 77%  保護者… 76%

*生徒の心に火をつける(やる気を起こさせる)教師である。
 教職員… 69%  生徒… 60%  保護者… 57%

*公平な(えこひいきをしない、生徒の悪口を言わない)教師である。
 教職員… 80%  生徒… 65%  保護者… 71%

※「未熟な教師は子どもを教える」、「円熟した教師は子どもを理解する」、「賢明な教師は師範する」、「偉大な教師は子どもの心に火を点(とも)す」と言われている。生徒の心に火をつける教師になりたいものだ。


◆(西中の校長・教頭は)どんな管理者であると思いますか。

*話を聞いてくれる管理者である。
   『はい』(そう思う、どちらかと言えばそう思う)
 教職員… 93%  生徒… ――   保護者… ―

*ゆとりのもてる学校をつくる管理者である。
 教職員… 80%  生徒… ――   保護者… ―

*職員との信頼関係を高められる管理者である。
 教職員… 82%  生徒… ――   保護者… ―

*教職員を信頼し、任せるところは任せる管理者である。
 教職員… 93%  生徒… ――   保護者… ―

*力強く学校を引っ張る(指導力のある)管理者である。
 教職員…100%  生徒… ――   保護者… ―

*本質を大切にする(表面的なこと、形式に捉われない)管理者である。
 教職員… 93%  生徒… ――   保護者… ―

※「忙しすぎると心が失われる」、と「女性の品格(板東眞理子著)」に書かれていたが、ゆとりがなければ視野も狭くなる。ゆとりのもてる学校をつくることは、特に重要である。管理職だけでなく全職員の努力が必要である。


◆(西中生は)どんな生徒であると思いますか。

*話を素直にしっかり聞く生徒である。
   『はい』(そう思う、どちらかと言えばそう思う)
 教職員… 57%  生徒… 75%  保護者… 83%

*意見をしっかり言える(他人に惑わされない、自分の意志がある)生徒である。
 教職員… 23%  生徒… 62%  保護者… 70%

*礼儀作法(あいさつ・返事など)ができる生徒である。
 教職員… 57%  生徒… 86%  保護者… 79%

*大きな目標をもってねばり強く努力する(向上心がある、決めたことをやりとげる)生徒である。
 教職員… 43%  生徒… 78%  保護者… 66%

*他人の気持ちを大切にする(相手の立場になって考える、他人の痛みが分かる)生徒である。
 教職員… 47%  生徒… 70%  保護者… 66%

*正直な(裏表のない)生徒である。
 教職員… 77%  生徒… 59%  保護者… 72%

※国民性と言ってしまえばそれまでなのだが、外国では、意見を述べられない人は無能と受け止められてしまう。国際化と言われる時代でもあり、意見をしっかり言える生徒を育てたいものだ。


◆(西中生の家庭は)どんな家庭であると思いますか。

*子供の前で学校や教師の批判をしない(子どもの友達も批判しない)家庭である。
   『はい』(そう思う、どちらかと言えばそう思う)
 教職員… 20%  生徒… 78%  保護者… 74%

*家事手伝いをさせる家庭である。
 教職員… 53%  生徒… 80%  保護者… 82%

*子供を放任しない(叱る時には叱る)家庭である。
 教職員… 57%  生徒… 94%  保護者… 97%

*子供を他人や兄弟などと比較しない家庭である。
 教職員… 70%  生徒… 72%  保護者… 72%

*早く家に帰りたいと思う(笑いが絶えない、親子の仲が良い、やさしさや思いやりがある)家庭である。
 教職員… 67%  生徒… 80%  保護者… 94%

*子供の話をしっかり聞く(何でも話し合える、学校の出来事をよく知っている)家庭である。
 教職員… 67%  生徒… 81%  保護者… 89%

※青少年の問題行動に対しては、家庭の放任を指摘する声が多い。生徒も保護者も、子どもを放任しない家庭と肯定している割合が高いのは、誠に望ましいことである。


◆(西中地区は)どんな地域であると思いますか。

*交流が盛んな明るい(あいさつが飛び交う)地域である。
     『はい』(そう思う、どちらかと言えばそう思う)
 教職員… 55%  生徒… 66%  保護者… 65%

*仲間意識をもってまとまれる(対立や蔑視がない)地域である。
 教職員… 52%  生徒… 76%  保護者… 64%

*青少年の健全育成に関心をもつ(悪いことをしたら注意する)地域である。
 教職員… 66%  生徒… 67%  保護者… 54%

*学校教育活動に協力を惜しまない地域である。
 教職員… 63%  生徒… 78%  保護者… 71%

*恐いことがおきない安全な地域である。
 教職員… 30%  生徒… 72%  保護者… 59%

*きれいな地域である。
 教職員… 60%  生徒… 72%  保護者… 79%

※教職員も生徒も、そして保護者も、この地域は学校に協力を惜しまない地域と肯定している。地域性として、学校にとって誠にありがたいことである。


 ◇日本人として(資料7)

 この調査は、日本人としての自信や誇りをもった人間を育てていくため実施した。

 Aの質問には、「とても気になる」、「どちらかと言えば気になる」、「気にならない」、「何とも言えない」の中から1つを、Bの質問には、「とても大切」、「どちらかと言えば大切」、「大切に思えない」、「何とも言えない」の中から1つを答える形をとり、「とても気になる」、「とても大切」と答えた人数の割合を百分率(%)で表した。

 調査結果は、学区内全戸に配布した。(調査-平成22年9月-回答数「教職員(29名)、生徒(498名)、保護者(376名)」-足利市立西中学校)

A 以下の行動等は、気になり(すぐ改めるべき、恥ずかしい)ますか。

    「とても気になる」

1コンビニ等の駐車場の地面や縁石に座り、飲み食いすること。
 教職員…97% 生徒…33% 保護者…70%

2レストラン等で、帽子を(とれない事情がなくても)とらずに食事をすること。
 教職員…69% 生徒…28% 保護者…35%

3交差点付近の植え込みや茂み等に、ゴミや空き缶を捨てること。
 教職員…97% 生徒…58% 保護者…91%

4家族が一緒に食事をする等、家族団らんの時間がもてなくなっていること。
 教職員…52% 生徒…29% 保護者…49%

5電車の中等、人混みの中で化粧をすること。
 教職員…62% 生徒…31% 保護者…53%

6病院等で、名前を呼ばれても返事をしないこと。
 教職員…34% 生徒…21% 保護者…29%

7中高生が制服をミニスカートや腰パンにしたり、靴の踵(かかと)を潰(つぶ)したり、ワイシャツの裾(すそ)を出すように着たり、埴輪スタイル(スカートの下に運動着のズボン)で出歩いたりすること。
 教職員…72% 生徒…28% 保護者…49%

シルバーシートに若者が座って、お年寄りや赤ん坊を抱いた人、妊婦に席を譲らなかったり、足を投げ出して座席に座ったりすること。
 教職員…100% 生徒…71% 保護者…86%

9中高生が眉毛を細く剃ったり髪を染めたり化粧をすること。
 教職員…55% 生徒…34% 保護者…43%

10自転車や車に乗りながらでも、携帯電話を離さず操作していること。
 教職員…69% 生徒…32% 保護者…69%

11自分の利益ばかり考えて、共存共栄、自他共栄といった精神が少なくなっていること。
 教職員…59% 生徒…37% 保護者…55%

12「ウザイ」、「キモイ」、「死ね」、「ぶっ殺す」といった言葉を口にすること。
 教職員…97% 生徒…40% 保護者…78%

13「ら」抜き言葉にしたり、敬語(尊敬語や丁寧語など)がつかえないなど、正しい言葉づかいができないこと。
 教職員…66% 生徒…34% 保護者…49%

14旅館やレストラン等で、靴やスリッパを脱いだままにすること。
 教職員…66% 生徒…37% 保護者…51%

15入浴の作法が悪い(体を洗わずに湯舟に入る、湯舟でアカスリ使用など)こと。
 教職員…72% 生徒…68% 保護者…76%

16遵法(じゅんぽう)精神に乏しく、まじめに学ばない中高生が多くなっていること。
 教職員…55% 生徒…27% 保護者…39%

17箸や鉛筆の正しい持ち方ができず、上手に使えないこと。
 教職員…48% 生徒…26% 保護者…67%

18道理をわきまえず、欲望の赴(おもむ)くままの行動が多くなっていること。
 教職員…90% 生徒…34% 保護者…58%

19不健全な漫画や雑誌、ビデオを青少年の目に触れないようにするなどの配慮がないこと。
 教職員…76% 生徒…31% 保護者…46%

20親が子育ての役割を果たさず、虐待したりすること。
 教職員…97% 生徒…80% 保護者…93%

※「3 交差点付近の…」、「8 シルバーシートに…」、「15 入浴の作法が…」、「20 親が子育て…」のような行為を、多くの生徒がとても気になると答えている。西中教職員が、「西中生っていいよな」と評価するくらいだけあり、やはり健全である。教職員や保護者と比べて相当に開きがあるものについては、大人の意識という観点に立って、生徒には参考にしてほしいことである。


B (日本)人として大切ですか。

          「とても大切」

1返事やあいさつがいつでもどこでもできること。
 教職員…97% 生徒…83% 保護者…94%

2自分の意見をしっかり言えること。
 教職員…72% 生徒…59% 保護者…68%

3親を敬い家族を大切にすること。
 教職員…90% 生徒…80% 保護者…84%

4本をたくさん読んで生き方等を学ぶこと。
 教職員…55% 生徒…36% 保護者…47%

5幼い時から、弱い者いじめは卑怯(ひきょう)なことと教えること。
 教職員…100% 生徒…62% 保護者…86%

6お金の大切さ、働くことの大切さを知ること。
 教職員…93% 生徒…78% 保護者…95%

7基本的な生活習慣や社会生活の規範をしっかり教えること。
 教職員…100% 生徒…64% 保護者…85%

8日本人としての自信や誇りをもった人間になること。
 教職員…62% 生徒…54% 保護者…48%

9日本の歴史や文化を自信をもって紹介できること。
 教職員…62% 生徒…35% 保護者…34%

10自己中心的な考えを改め、世のため人のためを考えた行動をすること。
 教職員…83% 生徒…61% 保護者…56%

※あまりにもむごい虐待が、しばしば報道される状況にあって、「3 親を敬い家族を大切にすること」を、とても大切と答えている生徒が非常に多くホッとさせられる。また、「1 返事やあいさつ…」、「6 お金や働くこと…」をとても大切と答えている生徒も多く、明るい未来を感じさせる。


 ◇国旗の教室掲揚(資料8)

 足利市立の北中学校(平成18年1月30日~)と西中学校(平成21年7月1日~)は、以下のような考えの下、掲揚塔に国旗を日常的に掲揚し、また、教室にも国旗を掲げている。国旗を掲揚することで、公の精神を培い、国の将来を担う立派な人間が育っていくことを願っている。西中地域では、全戸(平成22年8月)にこのことを知らせている。

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 日本の国旗を、「サンライズビュー(日の出の光景)」と称えた方がいる。そのように見てみると、日本の国旗は美しい。そして、「サンセットビュー(日没の光景)」でもあると考えると、益々美しく感じられる。日本では、祝日にも国旗が掲げられないのが現状だが、昔のように、学校にも地域にも掲げられ、公の精神を培う象徴にしたいものだ。

◆本来の姿を取り戻す
 日本人に最も欠落している心、おろそかにしてきた心、それが愛国心である。この国のためにとの観点で世の中や自己を見つめれば、正すべきことが多い。本来の姿を取り戻したいものである。

◆自分優先の考えや行動を廃す
 人のために努力したことは必ず自分のためになる。自分優先の考えや行動が、他を思いやる心を欠いたり、節操のない生き方を招いている。

◆信念と勇気を培う
 日本の社会では、あらゆる議論が最後にはその場の空気によって決定されることが多い。我々には、世のため人のためとあれば、この空気を打ち破る勇気と信念が必要である。私利私欲のためでは、真の勇気も生まれない。

◆志をもって学ぶ
 「何のために学ぶのか」の問いに、「自分のために学ぶ」という答は多いが、学ぶ目的を自己の利益追求のみに終始させてはならない。自国の人達の役に立ちたいとの意志を語り、意欲的に学ぶ留学生の姿を、大いに見習いたいものだ。本校生にも、この意志をもってほしい。この意志があるとないのでは、学ぶ気力が違ってくる。

◆差別を容認しない人に
 足利市は、同和問題の解消を中核に据えて、人権教育を進めているが、成果は上がっているものの未だ解消には至っていない。国も同様である。同じ国民である日本人なのに、差別を早急に解消できないのは国の恥である。同胞意識と正義感(憤り)をもって、差別を決して容認しない強い人間を育てたい。

◆世界で尊敬される日本人に
 国際化の時代であり、国際感覚を磨く必要性が語られるが、国際感覚は、語学力だけでなく、日本人としての誇りや自信をもった真の日本人、信頼される日本人になることによって磨かれていく。世界で尊敬され、魅力を感じる日本人を育てたい。


 ◇子どもを非行にする10ヵ条(資料9)

 保護者配布後、開かれた学校づくりのため地域全戸に配布した。

 若林繁太先生(1978年、篠ノ井旭高校の校長として、全国から集まった中途退学などの多数の生徒を立ち直らせた教育実践で、読売教育賞を受賞。「教育は死なず」、「家庭の復活」、「学校を立て直す」など、著書多数。故人)は、自らの著書「教育よ、よみがえれ」の中で、子どもを非行少年・少女にする10ヵ条を挙げている。
 非行歴のある生徒50人を抽出しつぶさに調べてみると、共通した面が非常に多いことを発見し驚いたとのことである。そこで、その調査を集約し、世人の参考に供すべく発表された。

1子どもに学習を強いること
 子どもは自ら進んで学習をしないので、親は子どもの顔を見るたびに、「勉強しろ」と怒鳴りつけるがよい。忙しくて、その暇がない親は、少なくとも朝夕の2回、軽く「勉強しろよ」と言うだけでもよい。これを忍耐強く続けることである。早ければ1ヵ月後、遅くとも3ヵ月後には効果が現われる。すなわち、子どもが完全に勉強嫌いになることは必定だ。
 それでも、親として注意を続けるべきだ。親の注意に反発して、必ず非行を犯すようになるだろう。
 統計上、学習についていけない者の非行率は、非常に高いことに留意すべきである。彼らは、非行以外にストレスの解消法を知らないからである。不良少年・少女になる条件の最初の段階がそれなのだ。

2夫婦喧嘩は派手にすること
 なるべく、夫婦喧嘩は子どもの前でやる。それも派手に堂々とやるがよい。NHKの調査によれば、家庭で最も気になることは、父母の夫婦喧嘩と93%の子どもたちが答えている。子どもに心配させることは、不良化に最も良い方法であるから、大いに子どもを悩ますことに努力するがよい。だから、1年に1度だけやるようでは効果が薄い。できれば、毎日1度は、定期的にするよう心がけるべきである。すると、子どもは闘争的性格に成長し、学校内でも校外でも、常に闘争を好むようになり、やがては非行グループに歓迎されるようになる。うまくすると、番長に推薦されるかもしれない。なぜなら、彼らの世界には、力の強い者が上位を占める掟があるからだ。この際、勉強ができるできないは関係がない。
 非行原因を調べてみると、まず第1にあげられるのが、「家庭の不和」である。家庭が常に荒れている場合、非行発生の温床として理想的な環境といえる。特に父親が愛人を作ったとか、母親に男がいるという性的原因で家庭が乱れている時、正義感や潔癖感の強い少年時代のことであるから、子どもたちの不良化には、最高の条件といえる。

3不平はたゆみなく主張すること
 不満なことは世の中に充満している。これをじーっと胸の中に押さえておくことは健康的にもよくない。『徒然草』にもあるように、「腹ふくるるわざ」である。こんなものは、早く腹から追い出してしまった方がよい。
 あらゆる不平、不満を子どもの前で披瀝し、憤慨することだ。すると、胸の中が「すーっ」とし、気が軽くなる。だから絶えず「すーっ」となるためにも、自ら不満を求めて発表するがよい。「郵便ポストは、なぜ赤くなくてはいけないのか、青でもよいではないか」こんなことにも腹を立てよう。「父ちゃんの背の低さ」も気になるから、どんどん不平を言うがよい。最も効果的な方法は、年がら年中、ブツブツと不満を独り言のように言うことだ。こういう家庭に育った子は、例外なく不満家となる。そして、友人のこと、先生のこと、親のこと、すべてが不満に満ちた存在に見えて、毛嫌いし、孤立化していく。
 そのストレスの解消法は非行しかない。非行を犯す子どもたちの多くは、不平家であることを考えると、理屈の通らぬ事でも、不可能なことであっても、要は、本人が不満に思えばよいのであるから、常に不満を創造することが必要である。できれば、それが習性となるよう、不満感をいつも植え付けておくことが望ましい。
 特に家庭の内容、経済状態を大袈裟に吹き込んでおけば、ハッタリの強い不平家が養成されるし、反対に極端な謙遜をして、今にも一家が離散するかのような話をすれば、劣等感がさらに強まり、結果として自暴自棄になり、自分より生活の良い者に対して、いつも不満を感ずることとなる。
 前者の場合は、嘘を平気で言う人間となり、将来、知能犯となる素質に育っていくことであろう。後者の場合、すぐ「かーっ」と怒りやすい性格になり、将来暴力犯として成長する。どちらがよいかは、両親の選択にお任せしよう。

4子どもを徹底して大切にすること
 子どもを大切にすることは当然である。だから、子どもが失敗したり、困ったりすることのないよう、あらかじめ親が子どものことを、すべてやっておくことである。
 ナイフなど持たせて、指でも切っては大変だ。切れば痛くて血が出ることを、よく説明してナイフを取り上げるべきだ。鉛筆などは、親が削ってやるか、鉛筆削り器を買って与えることである。それも、なるべく電動式がよい。そのうちに、リンゴの皮も独りでむけないような子に成長し、わがままを通す子となり、非行発生条件がしだいに整ってくる。部屋の掃除など、大切な子どもにさせるなんてとんでもないことだ。親が全部清掃し、常に子どもが気持ちよく、いつでも使えるようにしておくべきである。子どもの世話は、徹底的に親がやるようにしたいものだ。過保護と言われるようでなければ、非行少年や非行少女は育たない。
 子どもが口の周りを汚したら、すぐハンカチで拭いてやるような母親であってほしい。やがて、この子には、世間を安易に見る習慣がつき、依頼心の強い子に育っていくことだろう。一日も母親なしには生活できないようになり、勤労意欲もなく、母親から離れない。その反面、わがままが高じて、気に入らぬ事があると、暴れるようになってくる。内弁慶になって、親に暴力を振るうような子どもに育てるには、この方法が最もよい。

5夫婦は教育理念を違えること
 なるべく夫婦の教育方法は、変えた方がよい。夫が、子どもを厳しく叱責しているときは、妻は、すかさず、「子どもを、そんなに叱らないでちょうだい、かわいそうに」と言いながら、子どもを抱きしめることが大切だ。すると、夫の叱責していることは無意味となり、子どもにとり、「父は恐いもの」という意識以外は感じられなくなってくる。
 間違っても子どもに「お父さんの言うことが正しいのよ、これから気をつけましょうね」などと、夫に同調するようなことを言ってはならない。子どもは、だんだんと非行化から、遠ざかっていくからである。その際、夫のとるべき態度としては、妻に、「お前は子どもを甘やかし過ぎる」と正直に言って罵倒することが必要だ。それも、妻の過去などをあばき、いかに妻が教育的に無能な女であるかを子どもに説明し、自分の立場を回復するように心がければ、一層効果的となる。
 できれば、子どもの前で、どちらが子どものために教育を考えているか、お互いに心ゆくまで怒鳴り合ってみるのもよい。子どもは、そんなことに異常な興味を示すものだし、よく記憶しているものである。後年子どもが、両親の前でその時の情景をつぶさに語り、わが子ながら以外に記憶力の旺盛なのに驚き、頼もしく感ずる時が来る。
 夫婦相互の教育理念の相違により、子どもに対する教育は、完全に相殺され、教育は無に等しい状態になる。それは、放任と同じ効果を生み、非行化しやすい家庭環境となる。子どもの躾については、夫婦して、その信念を曲げてはいけない。夫が白と言っても、妻は黒と思ったら、あくまで黒を通すべきである。判断は子どもがするであろう。

6子どもの要求は何でも聞き入れること
 子どもは、何でも見たり聞いたりすると、考えなしに欲しがるものである。それが自分にとって本当に必要な物かどうか無選択である。だからといって、それに親が横槍を入れる必要はない。
 何でも子どもが欲しがるものを買ってやることだ。選択力はその中で養成される。しかし、確実に耐えることのできない子どもに育っていくことだろう。耐えることのできない性格は、非行とは密接な関係にあるから、起爆剤を抱えているようなものだ。いつ爆発してもおかしくないような状態が、これによって作られる。あとは動機を待つだけで十分である。したがって、小遣いなども、できるだけ多く与えるがよい。
 できれば毎月いくらなどとみみっちいことを言わずに、遣いおわったら必要なだけ埋めてやることが望ましい。十分に小遣いを与えているから、非行などはしないだろうと思うのは大間違いである。
 子どもに小切手帳を渡していた父親があった。無制限の小遣いである。この子は盗癖があるので、十分に金を持たせておけば治癒すると思ってのことであった。1年後、この子は万引き団のリーダーとなっていたのである。この小切手は、リーダーの地位を買うのに役立っていたのだ。
 これによっても分かるように、どんどん際限なく小遣いを渡すことによって、非行化は急速に進むものである。それ程余裕のない時には、できるだけ多く、身分不相応に持たせるよう心がければよい。そのうちに、相応の働きが出てくるかもしれない-非行化によって…。

7子どもの人格を常に評価すること
 子どもといえども人間である。その人格を大切にしなくてはならない。したがって、子どもの部屋などに親が入ることは、絶対につつしまなくてはならない。だから、子どもが自分の部屋で何をやっているか、親は知らなくてもよいのである。子どもが何をやろうとも、子どもの自由だ。
 放任しておけば子どもは子どもなりにやっていくだろう。こういう親の考えがあれば、子どもの非行化は容易である。子どもがどこに行き、どんな行動をしているか、など気にする必要はない。それを知ろうとすることは、子どもを疑うこととなり、子どもとの信頼関係を失う結果となる。
 特に子どもが望むならば、子どもの部屋に電話を架設することなど、非行化するには理想的な環境作りといえよう。子どもは、親に知られずに外部と連絡を取ることができるし、居ながらにして、色々な情報を収集できるからである。非行を犯した子どもの中で、自室に電話を架設してある子どもが、比較的高率であるのも、こんな理由によるものであろう。
 また、子どもの外泊は止めることはない。自立心があってよいではないか。それに、子どもの人格を尊重するからには、とことんまで尊重して信じてやることである。代わりに親の自由も子どもに認めさせることである。子どもの前でも親は自由に振る舞うとよい。「子どもが見ているから」と急に模範的な行動をするのは、建前だけのことであろう。いつも本音で行動することである。何も隠す必要はない。夫婦の愛情交換もよいし、子どもの前で、ポルノを見たり読んだりすることも、親の自由であろう。要するに、親は子どもの前で自己の人格を正直に表現することだ。

8子どもは勝手に行動させること
 子どもの自主・独立の精神を確立させるため、自分のことは自ら解決させるように心がける。したがって、子どもが親に相談するようではいけないし、親もそんな相談に応じてはいけない。できるだけ子どもとの会話を少なくして、自立心を養成する。また、早くから自分の将来を決定する必要はない。自ら必要と思うまで、放置することが大切だ。非行を犯す者のほとんどが、無目的な子どもたちである実績を見ても立証されている。自分の将来に対して、早くから確定しているような子どもは、非行化しにくいのである。目的をもち、懸命にその目的実現に努力しているような子ども、クラブ活動や仕事に熱中している子どもは非行などに全く興味をもたないので、いずれも非行少年や少女に縁がない。ただ、ゴーゴー遊びや、ディスコなどに夢中になっている子どもは例外である。遊び、それ自身はよいとしても、非行とは隣合わせの存在である。したがって、非行をする条件としては、そういう場所になるべく数多く出入りすることがチャンスを多くすることになる。そんな状況は、よく気をつければ友人関係などから知ることができるが、とやかく言わない方がよい。
 最も理解のある親のような態度で、できるかぎり知らぬ顔をし、見逃すことである。そうすることによって、子どもは安心して危険な場所に出入りできるので、非行化を早める手助けができる。

9常に子どもを他人と比較すること
 自分の子どもが正常に発達しているかどうかは、他の子どもたちと比較してみることによって分かる。だから、他の子どもとの比較を怠らず、その結果を子どもに知らすことによって発奮を促すとよい。子どもはとかく忘れがちであり、無視しがちであるから、毎日のように徹底的に知らせることが必要だ。
 「隣の太郎ちゃんは、朝6時から勉強しているそうよ。成績だって1番で、先生から誉められたんだってよ。お前も少しは見習わなくてはね、怠けていてはダメ」という具合に、何度も何度もくどいほど子どもにたたき込むべきである。子どもがもうたくさんだと反発するようだと、一応の成功だと言えるだろう。たたき込まれた子どもは、次第に劣等感と自信喪失を起こし、やけ意識の結果、間違いなく非行傾向を強めることは請合いである。特に効果があるのは、兄弟との比較であろう。子どもたちは、常日頃兄弟を比較の先端に選ぶものである。それは、幼児の1、2歳から始まっている。最初は、「俺より弟ばかり可愛がっている」とのねたみから、「俺を不要な存在と思っているのではないか。弟だけを可愛がっている親の姿がその証拠だ」と、かなり理論的な分析をするまで、一貫して自虐的思索をするものである。それを活用して、「あなたはダメね。弟は誉められ者で、将来が期待できるが、あなたはたぶん、ろくな者にはならないだろうね」と憎らしげに言うとよい。子どもは憤激し、親の期待通りにろくな者にはならないだろう。
 幸いなことに、現今の子どもたちは、親のそのような言葉に発奮し、真面目でよい子になろうと努力するような忍耐力は持ち合わせていない。まず親の思惑は間違いないと思ってよいであろう。子どもは、こんな親の言動から、さらに劣等感を深めていく。劣等感が深まると、虚弱なものは窃盗のような個別的な非行へ走りやすく、頑健な子どもは、集団暴力行為や恐喝のように、集団をリードしていく組織的非行に接近していくことになる。兄が優秀なのに、弟は全く厄介者だとか、兄が世間の嫌われ者なのに、弟は誉められ者というように、どうして兄弟でこんなにも違うのかと不思議に思われる例が世間にはたくさんある。それは、親が、兄弟のどちらかの劣等感を刺激した結果である場合が多い。

10流行に遅れない子どもにすること
 子どもたちは、流行に敏感である。落ちこぼれた子どもほど、流行を気にするものである。劣等感を払拭するためには、せめて時代の流れに遅れないことが彼らの慰めでもあるのだ。目的をもった子どもは、全精力をその目的完遂に消費してしまうので、わりあい流行を気にしない。したがって、流行を気にしない子は非行とも縁が遠い。ただ、高校1、2年くらいになると、さすがに色気が出てくるので、多少髪型や服装に気をつかうのが普通である。しかし、この場合であっても、親が極端に気づくような変化はない。「あの子も年ごろだなあ」と思わせる程度で、気にするほどのものではない。
 しかし、劣等感を癒そうということになると、はっきりと誰の目にも分かるくらいの変化が出てくる。例えば、髪を染めて赤くしてみたり、アイシャドウを用いるとか、服装をやたらと気にするようになる。男の子はパーマをかけたり、髪を大切にし、少しの乱れも気にする。服装も普通の学生服では気に入らず、長ラン(モーニングのように裾の長い上着)や刺繍入りの裏地を欲しがるようになる。また、ネックレスや指輪を用いたり、煙草を吸って気取ったりする。これが進行すると、やがては窃盗が始まる。それも、すべて身の回りの装飾品が中心である。男子の場合、バイク窃盗がこれに加わる。これは金をいくら与えても防止することはできない。装飾品など、一つ一つ親に見せるわけにもいかないし、なにか気恥ずかしい気もするからであろう。この年頃の子どもたちは、悪いように見えても、皆、純真な気持ちが、心の奥に残っているものだからである。
 親は、買ってやった覚えのない物を子どもが持っていても、追求してはならない。それは、どんな方法であろうとも、子どもが懸命に、自らの手で得たものだからである。むしろ、「うまくやったなあ」と誉めてやるぐらいがよい。すると、子どもは、尚一層精進して、親の負担にならないよう気を配りながら、次第に高価な装飾品を得ようと、エスカレートするものだ。
 装飾品が未だ高価でなかったり、化粧品のメーカーがバラバラであれば、まず万引きが成功しているものと判断して差し支えない。品物が豊富で、高級品が多く、化粧品のメーカーが一定している場合には、女子は売春していると思って間違いないし、男子は万引きも高度化し、熟練の域に達しているか、恐喝などの非行を常習していると思ってよい。子どもがバイクを欲しがる場合には、500CCか俗にいう7半(750CC)の大型を買ってやるがよい。
 子どもの要求を断ると、バイク窃盗などの事件を起こし、学校に知られたり警察にマークされるなどして、正常な子に戻される怖れがあるからだ。また小さなバイクを買い与えれば、翌年はさらに大きなバイクを要求してくるだろう。だから、最初から大型バイクを買うべきである。また、暴走族に入っても、小型バイクでは馬鹿にされるからだ。ただ、この欠点は、非行になる前に死亡してしまう確立が非常に高いことだ。死亡までに至らなくも、植物人間になる可能性があり、その準備を忘れてはならない。この辺の状態にまで到達すれば、少年、少女ともに、非行化は完成したと判断してもよいであろう。


※私は、平成13年3月に若林先生のお宅に伺った。そして、当時のお話や先生の信条など、貴重なお話をお聞きした。先生は紛れもない本物の教育者であると感じた。

 篠ノ井旭高校の先生方の驚異的な実践に、校長として特に指導したことはないということだった。先生方が活動し易くなるように、環境整備をしたのだそうだ。「目の前の障害物をそのままに、後ろから尻を叩くようなことをしなかった。教師は本来まじめで、活動し易い環境にすれば、黙っていても行動する。あの実践は正直私の想像をはるかに超えていた。」とのことだった。

 校長としての心構えでは、「違法ではないが望ましくないと言われた実践もあり、教育委員会に出向くと、一斉に私の方を向き、とんでもない男が来た、みたいな顔つきで見られたことがあった。効果を現すと笑顔で迎えられるようになった。だから、信念をもってやりなさい。望ましいか望ましくないかは現場が判断するのです。」など、多くのご指導をいただいた。日頃私が考えていたことも肯定していただき自信にもなった。そして、最後に、先生の本を買うことができない(品切れ)ので、読めない人もいる。それを残念に思っているとお伝えすると、私の書いた物は、教育のためならどのように使ってもかまわないとのお言葉をいただくなど、心から感謝した訪問だった。

   (2018.1.3)