最高裁は、卒業式の国歌斉唱で起立しなかったことを理由に停職処分を受けた元教員2人の処分取り消しを求めた裁判で、都側の上告を退ける決定(5月31日付)をした。
2人(元養護学校教員「66歳」と元中学校教員「65歳」)は、2007年3月、それぞれ停職3カ月と6カ月の懲戒処分を受けた。最高裁の決定により2人の処分を取り消し20万円の支払いを命じた二審の東京高裁判決が確定したのである。
過去に注意や訓告を受けたり、あるいは戒告などの処分がされていたのか分からないが、不起立一事をもっての停職ならかなり厳しい処分ではある。
日本サッカー協会の重職を務めた方の経験だが、その方はサッカー会場で国歌の演奏が始まっていることに気づかず座って仕事を続けていると、激しいブーイングを浴びたのだそうだ。起立すると収まったということだった。
観光で東南アジアに出かけた方(北中の教頭先生)は、ラーメンを食べている時に突然国歌が流れ、店にいた客達は一斉に立ち上がったという光景を目にした。あのまま座って食べ続けていたら殴られたかもしれないと話したが、国旗や国歌に敬意を払えないような人間は世界で通用しないだろう。
私が勤務した中学校では感じたことがなかったが、小学校の運動会では違和感を感じたことがある。運動会の開会式の国旗掲揚で児童全員が体育帽を被ったまま、教職員の中にも何人か被ったままの学校があった。国旗掲揚に際して通常行われる放送「会場の皆様もご起立脱帽の上、国旗にご注目ください」もなかった学校では、座って帽子を被ったままの人が多数いたのである。
この判決によって、児童生徒の起立指導がされなかったり、教員の不起立が正当化されてはならない。思想・良心の自由を侵害するつもりはないが、国歌斉唱で起立できない人には教職を離れてほしいものだ。 (2016.6.28)