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本来の姿を取り戻す

「みんなの心に輝く学校をめざして」取り組んだ学校経営、「生き生きとした学校生活のために」取り組んだ生徒指導で感じた課題の解消を念頭に置いて教育問題などを考えます。

◇侵入者への対応(1)…教職員の確認内容

 2001年、大阪教育大学附属池田小学校で発生した無差別殺傷事件は、悲惨極まりない事件(8名の児童が死亡、児童と教諭合わせて15名の傷害)だった。この事件を契機に、全国の学校は、安全対策(学校への立ち入り規制、保護者や地域のボランティアによる学区内の巡視、侵入者に対する避難訓練など)を早急に講じる必要に迫られたのである。

 上記のような事件を防止するため、足利市立北中学校では当時以下のような内容を確認した。

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1 はじめに

・業者などについては、用向き・業者名を明らかにし、校内へ立ち入っているので、今まで通りとする。(立入許可証のようなものを出したり、受付簿への記入を要求するなどの対応はしない。)

・保護者については、直接教室へ行かないようお願いするが、業者などと同様、許可証をつけて来校させるような対応はしない。

・卒業生については、無断で校舎内に出入りしないことになっているので、今後もその指導を続けていく。

※生徒の安全確保にとって重要なのは、池田小学校の事件のような侵入者への対応である。

2 侵入防止は不可能

 本校(敷地内)への出入り口は6箇所ある。そのうち3箇所に門扉があるが、門扉を閉めても施錠するわけにいかないので、侵入を防ぐことはできない。また、塀の高さも乗り越えようと思えば容易である。侵入しようとする者にとって障害とはならない。

3 本校でも起こり得る

 授業中や部活動中など、どんな時に侵入されるか分からない。生徒の安全を守り抜くとの決意で、その時自分はどうするかを諸々想定して考えておくことが必要である。自分の命より生徒の命と考えていても、咄嗟の場合にそのように行動できるとは限らない。しかし、そのように考え(意識)ていなければ、行動などできるはずもない。
 教職員がこんなことを考えること自体異常なことだが、それを避けることは現状が許さない。

4 侵入者の発見と対応
   〈発見〉
・生徒の場合…教職員にすぐ知らせる。このような対応ができるよう指導する。
・教職員の場合…発見者は、インターホン、近くの生徒、あるいは自身で職員室まで連絡する。
              
※知らせを受けたら全員で対応する。机上の仕事は中断し駆けつける。あるいは、指示に即応できる態勢を整える。

   〈対応〉
・複数の職員で侵入者の状況を確認し、
          
 刃物を持っているか、酒に酔っているか、それとも薬物か、何人いるか、など。

     近づけるようなら近づいて対応する。
                           
       あまり近づかない。間合いをとる。

穏やかな口調で言葉をかけ、用件などを聞く。
   
 「何かご用でしょうか」と近づき、氏名などを聞く。

・刃物などの所持や複数のため、近づけない言葉をかけられない。
                     
                                    110番通報(必ず)

・生徒に危害が及びそうな場合…生徒を侵入者から遠ざける。侵入者の行動を制限する。
             
  厳しく注意する。教室などへ立ち入らないよう注意、あるいは制限する。

        襲いかかってきたら
                       
 自分のことなら逃げることもできよう。しかし、生徒の身を守るためには逃げることができない。応戦は止むを得ない。

5 その他

 (安全対策は開かれた学校づくりの妨げになるか)
・学校の安全対策と開かれた学校づくりは矛盾しない。気軽に学校に立ち入れるといったことは、開かれた学校の誤解である。学校の意思を保護者や地域にきちんと説明する。学校がもっている各種の情報を可能なかぎり発信し、学校理解を進めていく。保護者や地域の願いが、学校運営や教育活動に生かされることが開かれた学校づくりの要諦である。

・侵入者については、必要に応じ市教委や警察へ連絡する。

 (侵入者の対応で詰めておかなければならないこと)
・命をかけて対応した職員が裁かれてしまうことがないようにしなければならない。そのような結果にでもなれば、勇気ある行動、正義が学校から消え去りかねない。電車の中や駅ホームでの見て見ぬふりの行動をみれば明らかである。

・教職員は特殊な訓練を受けているわけではない。侵入者に対する訓練も、しばしば実施できるわけでもない。侵入防止は不可能に近いという状況を考えたら、警備員の配置はどうしても必要である。 (2016.1.26)