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本来の姿を取り戻す

「みんなの心に輝く学校をめざして」取り組んだ学校経営、「生き生きとした学校生活のために」取り組んだ生徒指導で感じた課題の解消を念頭に置いて教育問題などを考えます。

◇指導要録について

 指導要録は、学校教育法施行規則(第12条の3)に基づく公簿として校長の責任において作成されるもので、児童生徒の学籍並びに指導の過程及び結果の要約が記録される。

 学籍に関すること(様式1)には、「児童生徒の氏名、生年月日、性別、現住所」、「保護者の氏名、現住所」、「入学前の経歴」、「転入学の記録」、「卒業」、「進学・就職先」、「学校名、所在地」、「校長氏名、学級担任氏名」などを、指導に関すること(様式2)は、「各教科の学習の記録(観点別学習状況、評定)」、「特別活動の記録」、「行動の記録」、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」、「出欠の記録」などが記載される。

 指導要録は、児童生徒の学習や生活を総合的に把握し、継続的に適切な指導を行うための基礎資料であり、転学や進学に際しては、その抄本または写しを転学先や進学先に送付して指導に資するとともに、外部に対する学籍の証明の原簿になるものである。

  上記のような趣旨(目的)で作成されるので、児童生徒や保護者に開示しないことが前提だった。児童生徒の良い面悪い面をありのままに担任が記載することとされていたが、平成6年度の入学生から、指導に関する記録の保存を20年から5年に短縮(学籍に関する記録の保存は、変わらず20年)したこと、そして、指導要録の開示を求めた訴訟の判決(平成15年)によって、人物評価にかかわる所見欄などを除く一部開示が認められ、その後は全面開示の傾向が広がったことで、詳細かつ否定的な記載はなくなり、あまり意味のないものになってしまったようである。

 「こんな少ししか書いてないのは、それは生徒をよく見てないからだ」といったことを管理職に言われれば、担任は記入欄を埋め尽くすことに労力を費やすことになる。管理職はこういう発言を控えるべきである。ほんの一文程度の記載であっても空欄ではないので十分、労力は通信票に注いでほしいと話したことがあったが、指導要録の記載状況(詳細かつ否定的な記載をしなくなった)は時代の必然だったと思っている。  (2015.9.11)