市には市民憲章、学校には校則(心得)、道場には道場訓、族などと呼ばれる者にも掟というものがあるが、家庭はどうなのだろうか。家庭の約束事(家訓など)が話題にされるようなことはほとんどない。
新規採用で勤務した中学校長の父親は、「若き時惜しんで出さぬ汗水は老いて涙となって出てくる」を信条とし、一枚板に「鶏鳴に起きざれば夕暮れに悔いあり」の文言を書家に頼んで揮毫(きごう)し、床の間に掲げて家訓にされたとのことだった。
家庭の崩壊が危惧される今日を考えると、「他人に迷惑をかけない」、「物を粗末にしない」、「嘘をつかない」、「卑怯なことをしない」、「約束を守る」、「年寄を敬う」など、家庭の約束事が話題にされなければならない状況である。約束事がなければ家族みんなで考えることが必要だろう。 (2014.8.9)