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本来の姿を取り戻す

「みんなの心に輝く学校をめざして」取り組んだ学校経営、「生き生きとした学校生活のために」取り組んだ生徒指導で感じた課題の解消を念頭に置いて教育問題などを考えます。

◇教職員の不祥事防止には

 教職員の不祥事防止のために、県教委が出した懲戒処分の基準には正直驚いた。放火や殺人、横領、窃盗、詐欺、恐喝といったことまで記述されていたのである。

 定年退職者の挨拶では、大過なく勤務できたことの身の幸運を述べる方が多い。若い頃はそんなの当然と受け止めていたが、懲戒処分の基準を目にし、大過なく終わるということは簡単なことではないと感じた。

 管理職をしていれば管理責任を問われることもある。しかし、重大な過失や故意がなければ戒告以上になることはなく、注意か訓告止まりと処分など気にも留めなかったが、配布資料を目にした教職員の多くも多少なりとも意識するようになったのではなかろうか。

 春秋戦国時代を勝ち抜いて中国を統一した秦は、統一後15年で滅んだ。滅んだ理由は諸々あるが、苛烈な刑罰で人民を統治しようとしたことが第一に挙げられている。不祥事頻発に処分を厳罰化しても、それだけで問題が解決するようには思えない。

 生徒の問題行動を防止するには、生徒が夢や希望をもって毎日を生き生きと生活できるようにすることだが、教職員だって同じだろう。教職に誇りや生き甲斐を感じて働ける学校づくりが重要なのである。

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教職員配布資料)

  栃木県教職員懲戒処分の基準
                             平成16年6月15日
                             栃木県教育委員会

第1 基本事項

 本基準は、本県の懲戒処分の標準的な処分量定を代表的な事例について定めたものであり、栃木県教育委員会の事務局及び学校以外の教育機関に勤務する職員、県立学校に勤務する教職員並びに市町村立学校に勤務する県費負担教職員(以下「教職員」という。)に適用するものである。

 具体的な量定の決定に当たっては、
① 非違行為の動機、態様及び結果の程度
② 故意又は過失の程度
③ 非違行為を行った教職員の職責の程度
④ 児童生徒、保護者、他の教職員及び地域社会に与えた影響の程度
⑤ 過去の非違行為歴
等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする。したがって、個別の事案の内容によっては、事例に掲げる量定以外とすることもあり得る。

 特に、次の場合は、処分量定を加重する。
① 管理職にある者が非違行為を行った場合
② 所属長への非違行為の報告義務を怠り、又は隠ぺいした場合
③ 非違行為の重複や累積がある場合
なお、事例として掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては事例に掲げる取扱いを参考としつつ判断するものとする。

第2 事例

1 一般服務関係

(1) 欠勤

ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた教職員は、減給又は戒告とする。

イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた教職員は、停職又は減給とする。

ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた教職員は、免職又は停職とする。

(2) 遅刻・早退

 正当な理由なく勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた教職員は、戒告とする。

(3) 休暇の虚偽請求

 傷病休暇又は特別休暇等について虚偽の請求等をした教職員は、減給又は戒告とする。

(4) 勤務態度不良

 勤務時間中に職場からの離脱等により職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた教職員は、減給又は戒告とする。

(5) 職場内秩序びん乱

ア 上司等に対する暴行により職場の秩序を乱した教職員は、停職又は減給とする。

イ 上司等に対する暴言により職場の秩序を乱した教職員は、減給又は戒告とする。

(6) 虚偽報告

 事実をねつ造して虚偽の報告を行った教職員は、減給又は戒告とする。

(7) 争議行為等

地方公務員法第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は県あるいは市町村の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をした教職員は、減給又は戒告とする。

地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった教職員は、免職又は停職とする。

(8) 政治的目的を有する文書の配布

政治的目的を有する文書を配布した教職員は、戒告とする。

(9) 秘密漏えい

ア  職務上知ることのできた秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた教職員は、免職又は停職とする。

イ 職務上知ることのできた個人の秘密に属する情報を漏らした教職員は、停職、減給又は戒告とする。

(10) 個人情報の紛失等

 児童生徒等に係る重要な個人情報を、重大な過失により紛失若しくは流出し、又は盗難に遭った教職員は、減給又は戒告とする。

(11) 個人の秘密情報の目的外収集

 その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した教職員は、減給又は戒告とする。

(12) セクシャル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の教職員を不快にさせる職場外における性的な言動)等

ア 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メール等の送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した教職員は、停職又は減給とする。この場合において、わいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該教職員は免職又は停職とする。

イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った教職員は、減給又は戒告とする。

ウ 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職務上の立場を利用して強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした教職員は、免職又は停職とする。

(注)処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとする。

2 公の財産取扱い関係

(1) 横領・窃取・詐取

 公金又は物品(以下「公金等」という。)を横領し、窃取し又は人を欺いて公金等を交付させた教職員は、免職とする。

(2) 紛失

 公金等を紛失した教職員は、戒告とする。

(3) 盗難

 重大な過失により公金等の盗難に遭った教職員は、戒告とする。

(4) 損壊

 故意に職場において財産を損壊した教職員は、減給又は戒告とする。

(5) 出火・爆発

 過失により職場において出火、爆発等を引き起こした教職員は、戒告とする。

(6) 給与等の違法支払・不適正受給

 故意に法令に違反して給与等を不正に支給した教職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして給与等を不正に受給した教職員は、減給又は戒告とする。

(7) 公金等処理不適正

 自己保管中の公金の流用等公金等の不適正な処理をした教職員は、減給又は戒告とする。

(8) コンピュータの不適正使用

 職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた教職員は、減給又は戒告とする。

3 倫理関係

(1) 収賄

 職務に関する行為をすること、したこと、しないこと若しくはしなかったことの対価若しくは請託を受けてその地位を利用して他の教職員にその職務に関する行為をさせ、若しくはさせないようにあっせんすること若しくはあっせんしたことの対価として供応接待又は財産上の利益の供与を受けた教職員は、免職又は停職とする。

(2) 金銭等の贈与又は無償による役務の提供

 職務に関して利害関係を有する事業者等(以下「利害関係者」という。)から金銭、物品若しくは不動産(以下「金銭等」という。)の贈与を受け、又は無償で役務の提供を受けた教職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。

(3) 金銭等の無償貸付け

 利害関係者から無償で金銭等の貸付けを受けた教職員は、停職、減給又は戒告とする。

(4) 供応接待

 利害関係者から供応接待を受け、又は遊技、ゴルフ若しくは旅行に要する費用を利害関係者が負担して当該利害関係者と共に遊技、ゴルフ若しくは旅行をした教職員は停職、減給又は戒告とする。

4 公務外非行関係

(1) 放火・殺人

 放火をし、又は人を殺した教職員は、免職とする。

(2) 傷害・暴行・けんか

ア 人の身体を傷害した教職員は、停職又は減給とする。

イ 暴行を加え、又はけんかをした教職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。

(3) 器物損壊

 故意に他人の物を損壊した教職員は、減給又は戒告とする。

(4) 横領・窃盗・強盗

ア 自己の占有する他人の物(公金等を除く。)を横領した教職員は、免職又は停職とする。

イ 他人の財物を窃取した教職員は、免職又は停職とする。

ウ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した教職員は、免職とする。

(5) 詐欺・恐喝

 人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた教職員は、免職又は停職とする。

(6) 賭博

 賭博をした教職員は、減給又は戒告とする。特に、常習として賭博をした教職員は、停職とする。

(7) 麻薬・覚せい剤等の所持又は使用

 麻薬・覚せい剤等を所持又は使用した教職員は、免職とする。

(8) 酩酊による粗野な言動等

 酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした教職員は、減給又は戒告とする。

(9) 淫行

 18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした教職員は、免職又は停職とする。

(10) 痴漢行為

 公共の場所又は乗物において痴漢行為をした教職員は、免職、停職又は減給とする。

5 交通事故・交通法規違反関係

(1) 酒酔い運転

 酒酔い運転をした教職員は、免職とする。

(2) 酒気帯び運転

酒気帯び運転で人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた教職員は、免職とする。

酒気帯び運転で人に傷害を負わせた教職員は、免職又は停職とする。この場合において、事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした教職員は、免職とする。

酒気帯び運転をした教職員は、停職とする。この場合において、物の損壊に係る交通事故を起こして、その後の危険防止を怠る等の措置義務違反をした教職員は、免職又は停職とする。

(3) 飲酒運転の同乗者等

 飲酒運転であることを知りながら同乗し、又は運転することを知りながら飲酒を勧めた教職員は、停職、減給又は戒告とする。

(4) 飲酒運転以外での交通事故等

ア 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた教職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。この場合において、措置義務違反をした教職員は、免職又は停職とする。

イ 人に傷害を負わせた教職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において、措置義務違反をした教職員は、免職、停職又は減給とする。

無免許運転、著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした教職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において、物の損壊に係る交通事故を起こし、措置義務違反をした教職員は、免職、停職又は減給とする。

(注)処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応等も情状として考慮の上判断するものとする。

6 児童生徒に対する非違行為関係

(1) 体罰

体罰を加えたことにより、児童生徒を死亡又は重大な後遺症を残す負傷を負わせた教職員は、免職又は停職とする。

体罰を加えたことにより、児童生徒に重傷を負わせた教職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において、体罰を常習的に行っていたとき、又は体罰の態様が特に悪質なときは、免職又は停職とする。

体罰を加えたことにより、児童生徒に軽傷を負わせた教職員は、減給又は戒告とする。この場合において、体罰を常習的に行っていたとき、又は体罰の態様が特に悪質なときは、停職又は減給とする。

(2) わいせつ行為等

ア わいせつ行為(同意の有無を問わない。)を行った教職員は、免職とする。

イ セクシャル・ハラスメント又はこれと同等の行為を行った教職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において、セクシャル・ハラスメント又はこれと同等の行為を繰り返すなど特に悪質なときは、免職又は停職とする。

監督責任関係

(1) 指導監督不適正

 部下教職員が懲戒処分を受けた場合で、管理監督者としての指導監督に著しく適正を欠いていた教職員は、減給又は戒告とする。

(2) 非行の隠ぺい等

 部下教職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した教職員は、停職又は減給とする。

第3 適用期日

 この基準は、平成16年7月1日から適用する。
 附則(平成17年12月20日総第310号教育長通知)

 この基準は、平成18年1月1日から適用する。
 附則(平成21年3月18日総第490号教育長通知)

 この基準は、平成21年4月1日から適用する。

  (2014.4.5)