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本来の姿を取り戻す

「みんなの心に輝く学校をめざして」取り組んだ学校経営、「生き生きとした学校生活のために」取り組んだ生徒指導で感じた課題の解消を念頭に置いて教育問題などを考えます。

◇家族を大切にする国に

 紀元前七世紀、現在の中国の山東省の地にあった斉(せい)という国の宰相となり、桓公(かんこう)春秋時代最初の覇者たらしめた管仲(かんちゅう)は、貧しい少年時代を回顧して次のように語った。

 私が生活に困窮していた頃、鮑叔(ほうしゅく)と一緒に商売をしたことがある。その儲けを分配する時、私は自分の分け前を多くしたが、鮑叔は私のことを貪欲だと非難しなかった。私が貧しいことを知っていたからだ。また、私が鮑叔のためにと思ってしたことが、結果的に一層鮑叔を困らせることになった。しかし、鮑叔は私のことを愚か者だと責めたりしなかった。物事には、時の利・不利があることを知っていたからだ。私はかつて三人の主君に仕えたが、その度に追放の憂き目にあった。しかし鮑叔は、私のことを賢明ではないと言わなかった。私に運がなかったことを知っていたからだ。また、私が三度戦に行って、その都度逃げ出したが、鮑叔は私のことを臆病者とは言わなかった。私に老いた母のいることを知っていたからだ。私は父母から生を受けたが、私を真に知っているのは鮑叔である。史記

 桓公管仲を推挙したのは鮑叔であり、この話は「管鮑の交わり」として広く知られている。姉妹都市交流団としての訪米や何回かの訪台で感じたことは、アメリカ人や台湾人が家族を大切にしていることだった。老いた母を残して死ぬわけにはいかないと、「三度戦に行って、その都度逃げ出した」ことを肯定する鮑叔、それを堂々と主張する管仲に注目してほしいものだ。

 最近の日本では、悲惨な事件が頻発し、日本人の心が壊れてきたと感じずにはいられない。どうしてこんな国になったのか、そして、どうしたらいいかはいろいろあるけれども、家族を大切にしていくことが何よりも重要と考えている。  (2013.6.7)