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本来の姿を取り戻す

「みんなの心に輝く学校をめざして」取り組んだ学校経営、「生き生きとした学校生活のために」取り組んだ生徒指導で感じた課題の解消を念頭に置いて教育問題などを考えます。

◇私心を去る

 山岡鉄舟(幕末から明治にかけての剣豪、無刀流の祖、江戸無血開城の立役者)に商才を見込まれ、剣の道から実業の道を歩むよう諭され、一代にして大資産家となった商人が、鉄舟に商売のコツを聞かれ、次のように答えたとのことである。

 「商売がうまくいって少しばかり金ができたので、もっと儲けようと商品を仕入れたら、相場が下がってしまった。早く売り抜けようと焦ったら買い叩かれるはめになった。そこで、どうにでもなれと放っておくと、値上がりしたので、今度は強気になって売り惜しむと、値下がりして結局損をした。商売を成功させるには損得に執着しない。執着すると判断も鈍ってしまう。そのためには、自分のためだけを第一に考えないで、物事を正しく進める。いったん仕事に手をつけたら、結果に執着することなく、やるべきことをやる。すると、どの事業も成功した」と。

 儲けようとの下心があっては成功しない。国や人々のために貢献する、私利私欲のためではないとの信念が商売のコツ、との話が鉄舟を悟らせ無刀流を開かせることになった。

 剣道では、「さあ打ちなさい、どこからでも好きに打ちなさいという気持ちでいる時には、意外に打たれない」が、「相手に打たれないようにしている」時には、打たれてしまうことが多い。剣道の目指すところは、国家社会に貢献できる人間の育成にある。自分が可愛く(打たれたくなく)て、身を捨てて打つべき時に身を捨てられないようでは上達できない。国家社会のために身を捨てて働く人間にはとてもなれない。大きな仕事などできようはずがない。

 私心を去れば迷いがなくなる。自分の生き方も見えてくる。皆さんのためを一番に考えるような生き方をみんなが心がけたら、連日のように報道される凶悪な事件など起こらなくなるだろう。 (2013.5.4)