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本来の姿を取り戻す

みんなの心に輝く学校を目指し、中学校長として取り組んだ学校経営や教育課題などについての考えを述べます。

◇教育建言

 平成19年10月、文科省に出向き、初等中等教育企画課長、企画課総務係長に以下のような意見を述べ(30分の予定だったが、延びて45分間)た。先生方にも、各種会合等で積極的に意見を述べてもらいたい。そして、本物の教育活動が展開できる環境を創り上げてほしい。(平成22年6月)

◆教育施策に現場の声を反映させる
 中教審委員の中に、現場の人間と呼べる人は数人しかいない。あまり発言されない方だったら現場の声は反映されない。話し合いの資料は文科省職員が用意せざるを得ない。(現場は、文科省職員の作文をやらされることにならないか。)

◆校長や教頭として文科省職員を出向させる
 文科省職員(キャリア官僚)が現場を十分に理解していることは重要。文科省は、調査で現場を知るのではなく体験で知って欲しい。現場を知って教育施策に携われば、今とは随分違う状況が生まれる。

◆謙虚な教育委員会にする
 学校評価(内部・外部)の公表が義務化されるが、教育委員会の外部評価も必要。しばしば報道された不正常な教育委員会の改革のためには一考の余地がある。

◆道徳で生き方をしっかり学ばせる
 道徳教育を40年以上もやっているのに、心の荒廃が叫ばれている。戦前の教育を受けた人達の中には、修身で何を学んだかを未だに語って聞かせる人がいる。なのに中学を卒業して間もない高校生が、道徳で何を教わったのか分からないという現状(高校教諭の調査)は、作り話のような資料で、道徳的価値を追求するような授業をやっているからと考えている。これでは生き方は学べない。

◆分かる人だけに分かる授業が展開される現状を改める
  全生徒に分かる授業は難しい。教科書は新年度になると多くが新しくなる。1年生の内容が理解できていなくても2年生の内容に入る。この繰り返しが小学校より続いている。
 習熟度別授業、ティーム・ティーチング(TT)、選択制授業、35人学級の導入は、分かる授業の展開に貢献しているが、それだけでは足りない。例えば数学なら、3年間使える教科書で、それぞれの力に合わせて取り組めるような構成になっているとか、小学校の内容も振り返って学習できる小冊子のようなものが用意されているといった工夫がされたら、
随分違ってくるのではないか。

◆子どもの心を蝕む環境を改める
 東照宮の神厩舎には8枚の神猿彫刻がある。2枚目の三猿は有名で、「見まい 聞くまい 話すまい」と理解されているが、真の意味は、「見させまい 聞かせまい 話させまい」なのだそうだ。1枚目の親猿が眺めているのは、子猿の将来(成長)であり、2枚目の三猿は、健全な成長のために必要な心得が、そして、その後の成長の過程を眺めれば、そう考えるのが自然とのことだ。
 子どもの成長にとって好ましくないものを「見させまい 聞かせまい 話させまい」ということの示唆ならば、不健全なビデオや雑誌が販売され、粗野で暴力的な言動等が、テレビやラジオ等で流されている現況は、三猿の教えに反している。

◆これ以上教師を忙しくしてはならない
 教師の仕事は忙しく、目の前の仕事を片づけるのに精一杯の状況がある。教師は視野が狭いとの批評を耳にすることがあるが、こんなところに大きな要因があると感じている。
 栃木県内の中学校では、45人学級が40人学級となり、今では35人学級にまでなったが、根本的な解決は、学級の人数を減らすことより、標準法(教職員定数の標準に関する法律、学級の数で職員数を決定)の改正ではないかと考えている。小規模校では、未だに免許がない教科も教えなければならない状況が続いている。

◆適度な研修が資質向上に(不祥事防止にも)役立つ
  新規採用教員研修や10年目研修など、もう何年もやっているのに、教員の資質が向上したとの話は聞かない。まして全国で起きている教職員の不祥事は、収まる気配さえ感じない。
 生徒の問題行動を防止するには、生徒が夢や希望をもって、毎日を生き生きと生活できるようにすることだ。厳罰も必要だが、それだけでは何の解決にもならない。教職員だって同じことで、毎日を生き生きと、この職に生き甲斐を感じて働いている職員は不祥事を起こさないと思う。いろんな研修をこれでもか、とやらせることは逆効果である。

◆生きる力は未だ培われていない
 生徒指導上の問題を、生きる力という観点で考えると、問題の本質が見えるようになる。平成8年7月の中央教育審議会(中教審)第一次答申の中で、各学校は、ゆとりの中で特色ある教育を展開し、生徒に生きる力を培うこととした。生きる力は次のように説明された。
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・自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し行動し、よりよく問題を解決する資質や能力
・自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性
・たくましく生きるための健康や体力
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 現行の学習指導要領は、小学校は2001年、中学校は2002年から完全実施となった。移行措置期間を含めれば、小学校は9年、中学校は8年も実施しているのに、いじめ自殺や不登校、青少年の引き起こす事件等の現状は、未だ生きる力は培われていないと見るべきで、現行の学習指導要領は、成果を上げていないと言っても過言ではない。

◆外国語の多用を改める
 政財界や報道関係等、多くの国民を対象に仕事をする方は、外国語の使用に留意する必要がある。公務員なら、国民が理解できるようにしなければならないので、かなりの制約が必要である。
 伊吹文明文部科学大臣は、小学校の英語必修化に反対し、国語をしっかり学ばせるべきとの所信を述べた。「国語の力をつけないと英語の力もつかない」と英語教師も話している。日本人は日本語で考えを組み立てる。伝達手段としても、文化としても、見つめ直したいことだ。

◆児童生徒指導専任教員を各校に配置する
 児童生徒指導は今日的国民的課題でもある。青少年がかかわる様々な事件や問題を解決し、あるいは防止するには、学校、家庭、地域の連携が非常に大切だ。そのために、家庭や地域が同一歩調で対応していく役割を担う専任者を、どこの学校にも配置する必要がある。