近江商人の商いの理念が内外教育に紹介(日本大学の佐藤晴雄教授、三方よしの教育改革と題して)されていた。商取引は「売り手よし、買い手よし、世間よし」(この理念の出処は、1754年、麻布商の中村治兵衛宗岸が、跡継ぎ養子のためにしたためた書き置きの中にあったとのこと)でなければならない。即ち、商いでは売り手と買い手だけでなく、その売買行為が社会全体の幸福につながるべきであると。
この社会が抱える諸々の問題は、「世間よし」の考えが抜け落ちたことによって生み出されているように思う。不健全な雑誌やビデオ、有害玩具の販売、俗悪と批判される品性のかけらもない下劣な番組の放送など、挙げればきりがない。しかし、「買い手よし」まで抜け落ちている場合もある。詐欺商法などは「売り手よし」だけだろう。 (2012.5.14)