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本来の姿を取り戻す

「みんなの心に輝く学校をめざして」取り組んだ学校経営、「生き生きとした学校生活のために」取り組んだ生徒指導で感じた課題の解消を念頭に置いて教育問題などを考えます。

◇いじめ(2)…解消の仕方

 「大人が許されない行為は、子どもでも許されない」という認識が社会に醸成され、いじめたために起きた結果の責任を、加害生徒どころか保護者も追及され、刑事・民事事件として処理されるのは当然のことである。

 いじめを発見しにくいのは誰にも分かるようないじめが減少し、陰湿化していること、被害者やいじめを知っている周囲の生徒がいじめを訴えないことにある。被害者には、いじめられていることを知られたくない、訴えればもっといじめられるのではないか、家族にも話せないのは家族に心配をかけたくない、といった心理が働くようだ。周囲の生徒は、言えば自分がいじめられることになるのではないか、自分には関係ないこと、といった気持ちがあるのかもしれない。

 教師としては、なぜ言ってくれないのかという気持ちになるのだが、教師に言えないのは、教師への信頼が失墜(言ったところで解決してもらえないだろう)していたり、小さかった頃の指導を思い浮かべてしまうのかもしれない。「お互いに握手して、これからは仲良くね」といった指導を浮かべていたら言わないだろう。

  優柔不断な教師の対応は信用失墜行為であると私は考えている。生徒は、教師の対応を見ている。いざという時「自分を守ってくれる、助けてくれる」かどうかを、日頃の対応から感じ取っている。警察の力を信じているから困った時に相談するのであって、学校だって同じである。

 解消の仕方は、教師が気づいた、生徒や保護者から情報がもたらされた、本人が訴えてきたなど、いじめが分かったら全容を静かに調べるのである。決して情報源を明かさないこと、覚られないように行動する。全容をつかんだら、解消のための方策を立てる。そして、被害生徒に示すのである。これが重要だ。「これならばいじめがなくなる」との確信がもてるようにしなくてはならない。いじめの態様がひどい場合には、解消できない場合も考えて、保護者の意思(被害届を出す意志があるかどうかなど)を確認する。できれば被害届を出す意志を固めてもらっておく。次に、加害生徒を出校(出席)停止にする意志を固めておく。こうしてから毅然として対応するのである。いじめは呼びかけでなくなるものではない。決意が大切である。

 いじめは人殺し、と私は考えている。いじめを受けた生徒が自殺してしまうこともあるが、そのことだけを考えているのではない。人には皆すばらしい面があり能力がある。いじめによって力が発揮できなくなったり、人間性が歪(ゆが)められてしまうことだってある。だから人殺しなのだ。 (2012.3.22)