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本来の姿を取り戻す

「みんなの心に輝く学校をめざして」取り組んだ学校経営、「生き生きとした学校生活のために」取り組んだ生徒指導で感じた課題の解消を念頭に置いて教育問題などを考えます。

◇政局にすることが目的だったのか

 森友学園の問題で、民進党などの野党は総理や昭恵夫人を追及し続けている。メディアもそれを連日大きく取り上げ、国会はこの問題のみに時間を費やしているようにさえ感じる。

 総理の口からもう止めようと言うわけにもいかないだろうから、まだまだこの問題は終息しないのかもしれない。いい加減にしてほしいと思っている人には政治家への腹立たしい思いが募ることだろう。

 問題の発端となった国有地の安値売却、小学校の許認可の問題より総理からの100万円の寄付の有無といったことに焦点が移っているように思う。ここまで来ると、この問題は政局にするとの意図をもって取り上げられたのかもしれないと思う。

 国会中継を見ていると、質疑というよりイチャモンをつけていると感じてしまうのだが、北朝鮮からミサイルが飛んできたらどうするのかといった市井の不安などどこ吹く風である。安全保障や経済など、克服すべき課題は山積しているはずである。日本の未来は今にかかっているのだから、与野党はそのために知恵を出し合うべきであり、政局に明け暮れるような国会にしてはならないだろう。  (2017.4.3)

◇尊い仕事なのだが

 職業に貴賤上下の別はなしとは言われるが、人を育てる仕事は特別でひときわ尊いと思っている。そう思っているのに、教師を希望する高校生や大学生に教師になることを強く薦めることができない。それがとても残念である。

 38年の教職経験で感じていたことは、教職員を含め教育関係者にあまりにも多忙な教育現場を改善するという気概に欠けていたことである。「昔から教育現場は忙しかった。忙しいのは当たり前だ。ゆとりは子どものゆとりであって教師のゆとりではない」などと発言する年輩職員や管理職もいた。こんなことでは改善は無理である。忙しいという字は心(りっしんべん)を亡くすと書くが、心を亡くす状況を放置してはならない。

 やればやる程おもしろくなるのが仕事なのだそうだが、納得できないこと、あまり意味のないようなものはどんなにやってもおもしろくなるはずがない。ストレスを溜め込むだけだろう。全国で毎年5千人程が精神疾患で休職している状況はあまりにも異常である。

 難関の試験に合格して採用されたのに、教職を去った話を伝え聞いたり、命を絶ったという報道には暗い気持ちにさせられる。上意下達ではなく現場からの教育改革、どうしたらいい学校ができるのか、働きやすい学校になるのかといったことを優先して改革することが大事である。教師をめざす若者に胸を張って教育の魅力を語りたいものである。  (2017.3.21)

◇部活動は大切な教育活動だが(3)…部員の思いを把握していれば

 部活動には人生(哲学)が詰まっていると過去のブログに書いたが、部活動を通して人生の指針となるようなものをつかみ取ってほしいものだ。そのためには部活動が健全に運営されなければならない。

 新年度になり、新入生が加わると各部の活動は活気づく。2年生は上級生として、3年生は最上級生としての自覚も出て、それぞれ更に成長していく。したがって、それまで同様の指導が続いていくが、友達をつくりたい、楽しい時間を過ごしたい、体力をつけたい、今まで続けてきたのでもっと上手になりたい、やってみたかった、兄弟や父母から勧められたといった新入生の入部動機、部活動への期待や不安などを知っておくことは重要であり、また、上級生の思いの変化も把握できたら部活動を見直し健全な運営に役立つだろう。

 中学生になると、部活動で忙しくなり、それまで習っていたピアノや書道、算盤、水泳など、続けられなくなって止めたという話をしばしば耳にするが、中学生になっても続けられるよう配慮したいものだ。続けるために活動日に休むことがあってもそれを容認する雰囲気があったらどんなに救われることだろう。

 長距離を走る人間には、最初から勝負で走るレーサータイプ、マイペースで走り、最後に余力があったら全力を出すランナータイプ、勝負度外視でジョギングのように走るジョガータイプの3つがあるとのことだ。強くなって選手になり、試合で勝ちたいと考える部員もいればジョガータイプの部員もいる。部活動は部員の視点にも立って考えていくことが大切だろう。 (2017.3.6)

◇部活動は大切な教育活動だが(2)…地域の協力者とともに

 部活動では、担当の職員が転勤になり競技に精通した職員がいなくなったり、職員減で後任を配置できなくなったり、極端に部員が少なくなったりすると学校ではその部を廃部や休部にすることが一般的に行われている。

 部員がいるのに、学校の都合で廃部や休部ではあまりにも悲しい。地域の人達に指導員として協力いただければそのようなことをしないで済むし、部員の意欲向上にもつながるだろう。地域で子どもを育てるという教育の方向性からも時宜にかなうことで、今後は保護者、あるいは広く地域に呼びかけて指導員を募り、部活動の充実・発展を図っていくため、以下のような内容の文書を学区内の全戸に配布したのである。

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   地域の皆様へ

 本校は、今後部ごとに以下のような振興委員会を順次立ち上げ、地域の皆様のお力をお借りし運営していくことにします。生徒減による職員減、競技に精通した職員不足等のため、このままでは部活動の充実・発展が望めなくなるからです。地域の皆様方には今後も変らぬご支援ご協力をお願い申し上げます。

         (PTA会長・地区児童生徒指導連絡協議会会長 〇〇〇〇)


〇〇部振興委員会(年1回以上の会合をもち、運営等の協議をする)

☆相談役…若干名(校長、教頭、委員の推薦による委嘱)

☆委員長、副委員長…振興委員会を統括する。(必要に応じて助言、指導員の選任他)

☆主席指導員…学校の顧問が務める。振興委員会の事務局を兼任する。

☆指導員…若干名(主席指導員が諸般の事情で十分な指導ができない場合は、他の指導員が実質的な指導に当る。指導員の任期は1年とするが、できるだけ継続をお願いする。継続が困難な状況ができたら、委員の中から指導員を委嘱する。)

☆委員…若干名(委員会の運営等に意見を述べる。指導員不足の時には指導員委嘱に応じる。)

※いきなり大組織を作らない。年々組織を充実させていく。必要な部から始める。

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 この取り組みは地元紙でも報じられ、振興委員会を立ち上げようとしていたところだったが、提唱した私が転勤になってしまい実現できなかった。地域には元気で役に立ちたいと考えている高齢者がたくさんいる。部活動は学校だけでなく、地域の協力者とともに運営する時代だろう。 (2017.2.20)

◇部活動は大切な教育活動だが(1)…改善しなければ続けられない

 教員の業務負担軽減策として、文部科学省スポーツ庁が平成29年1月6日付けで、部活動の休養日を適切に設けるよう求める通知を全国の教育委員会などに出したことが報じ(2月7日、産経新聞られていた。部活動の休養日については、昨年12月にスポーツ庁が公表した中学校の調査で、1週間の中で休養日を設けていないと回答した割合が約22%(週に1日が凡そ54%、2日が14%、3日以上が3%)、1カ月の中で土曜日や日曜日を休養日に設定していない割合も約42%(月1回が凡そ12%、2回が11%、3回が6%、4回以上が28%)に上っていたことが判明し、改善の必要があると判断したとのことである。

 スポーツ庁は部活動の適切な練習時間や休養日設定の考え方をまとめたガイドラインを、平成29年度に策定する方針を示しているとのことだが、教員の長時間労働を改善し、負担軽減を図るとともに、生徒の健康・健全育成の観点からも当然の対応だろう。

 学校における部活動は大切な教育活動であるが、学習指導要領における教育課程外であり、活動は主に朝や放課後の勤務時間外、あるいは休日になる。授業や学級経営、生徒指導などで多忙を極める教員にとってはもう限界なのだろう。

 40代の中頃だったが、教務主任として転勤した年の帰宅は毎日10時過ぎだった。教務主任も部活動の担当があり、仕事は終了後にしかできなかったからでもある。担当した部活動はそれまで指導したことのない部だったので、他校との合同練習や試合にはできるだけ出向いて教えを請うように努めたのだった。帰校してからまた仕事のため、休日でも日没前の帰宅はままならなかった。また、免許外の教科も担当したため、帰宅後教材研究にも膨大な時間を割かねばならなかった。

 退職して6年になるが、久々に顔を合わせた現職教員から、先生はいい時に退職されましたねと言われたが、益々忙しくなっているのだろう。日曜日や祝日は原則休養日にし、練習試合や大会などで活動した場合は、その翌日を休養日にする。各家庭の事情や生徒の負担を配慮して朝練習は行わないなど、部活動の健全なあり方を改めて見つめ直す必要がある。

 「勝たなくては、勝たせなくては」との思いは捨て、「勝つのは今でなくてもいい、後で勝てばいい」と考えるべきだろう。孔子は「之(これ)を知る者は、之を好む者に如かず。之を好む者は、之を楽しむ者に如かず。」と言ったが、部活動は(その対象を)好きにさせることが大事であり、将来それを楽しむことができる人間を育てることだろう。

 (2017.2.7)

◇いじめ(5)…いじめ調査を公表する

 平成28年12月、3件のいじめに関する記事を目にした。平成27年7月に自殺した岩手県矢巾北中2年の村松亮君(13歳)のことでは、第三者委員会が学校の対応が不適切と町教育委員会に報告書を提出したとのことだった。委員長は、学校はトラブルの度に対応してきたと言うが、教員全体での情報共有が不十分だった。いじめは担任一人では背負いきれない。学校全体や家庭で情報を共有し対策を取るべきだったと指摘したそうだ。

 平成28年8月に自殺した青森市の浪岡中2年の葛西りまさん(13歳)のことでは、捜査関係者が同級生100人以上から聞き取りをし、侮辱などに該当する行為をした生徒数人を児童相談所に通告したとのことだった。生徒は14歳未満のため刑罰は科されない。

 平成24年1月、同級生3人から殴る蹴るの暴行を受けて心配停止になり、現在も寝たきりになってい埼玉県川越市の19歳の少年(当時中学2年)のことでは、市と少年らに1億4800万円の支払い命令が出された。同級生3人は少年院に送致されたとのことだが、教員らは暴力を伴う事件にまで発展し生命と身体に危険が及ぶ状態を予見できたのに放置したのだそうだ。

 いじめ事件が度々報じられるようになってからもう何十年も経つ。学校のあり方が常に問われるが、過去の被害者の悲痛な訴えは少なくともこれらの学校には届かなかったようだ。

 学校では毎年いじめの調査を実施し教育委員会に報告している。そして、市や県など自治体ごとに、あるいは国としてまとめて公表されることになるが、自校の結果を保護者に公表する学校はほとんどない。ホームページへの掲載も見たことがない。

 子どもが通う学校の調査なら、身近な問題として保護者も受け止めるだろう。学校も校長以下教職員が一丸となって取り組まなければならないだろう。報じられたような対応をしていたら批判が殺到することになる。過去のブログ「いじめ(4)」で掲載したが、調査結果を学校は公表すべきだろう。 (2017.1.24)

◇早急にやらなければ緊急対策にならない

 昨年の5月4日、常磐道で起きたバスと乗用車の正面衝突事故(乗用車に乗っていた母親と6歳の子どもが死亡)は、中央分離帯がない高速道路の対面部分で起きた。対向車がポールを越えたら絶対避けられない大事故になることは誰でも分かる。そこで、早急に対策を講じほしいと首相官邸に意見を送った(5月6日)が、12月20日、国土交通省は事故防止緊急対策を発表した。

 具体的には、ラバーポールで仕切るだけの区間約2500㎞のうち、今春から約100㎞でワイヤーロープ5本で中央を仕切り安全対策を検証するとのことだ。

 二車線区間では、反対車線への飛び出しが一昨年は334件発生し、死亡事故の発生確率が四車線区間の約2倍になっているとのことなので、全線で早急に工事をすべきだろう。

 早急にやるから緊急対策なので、危険と分かっていても対策が遅れれば放置したのと同じである。アメリカだったら、賠償金は懲罰的な意味も含め何十何百億円になるのかもしれない。(2017.1.10)