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本来の姿を取り戻す

「みんなの心に輝く学校をめざして」取り組んだ学校経営、「生き生きとした学校生活のために」取り組んだ生徒指導で感じた課題の解消を念頭に置いて教育問題などを考えます。

◇部活動は大切な教育活動だが(2)…地域の協力者とともに

 部活動では、担当の職員が転勤になり競技に精通した職員がいなくなったり、職員減で後任を配置できなくなったり、極端に部員が少なくなったりすると学校ではその部を廃部や休部にすることが一般的に行われている。

 部員がいるのに、学校の都合で廃部や休部ではあまりにも悲しい。地域の人達に指導員として協力いただければそのようなことをしないで済むし、部員の意欲向上にもつながるだろう。地域で子どもを育てるという教育の方向性からも時宜にかなうことで、今後は保護者、あるいは広く地域に呼びかけて指導員を募り、部活動の充実・発展を図っていくため、以下のような内容の文書を学区内の全戸に配布したのである。

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   地域の皆様へ

 本校は、今後部ごとに以下のような振興委員会を順次立ち上げ、地域の皆様のお力をお借りし運営していくことにします。生徒減による職員減、競技に精通した職員不足等のため、このままでは部活動の充実・発展が望めなくなるからです。地域の皆様方には今後も変らぬご支援ご協力をお願い申し上げます。

         (PTA会長・地区児童生徒指導連絡協議会会長 〇〇〇〇)


〇〇部振興委員会(年1回以上の会合をもち、運営等の協議をする)

☆相談役…若干名(校長、教頭、委員の推薦による委嘱)

☆委員長、副委員長…振興委員会を統括する。(必要に応じて助言、指導員の選任他)

☆主席指導員…学校の顧問が務める。振興委員会の事務局を兼任する。

☆指導員…若干名(主席指導員が諸般の事情で十分な指導ができない場合は、他の指導員が実質的な指導に当る。指導員の任期は1年とするが、できるだけ継続をお願いする。継続が困難な状況ができたら、委員の中から指導員を委嘱する。)

☆委員…若干名(委員会の運営等に意見を述べる。指導員不足の時には指導員委嘱に応じる。)

※いきなり大組織を作らない。年々組織を充実させていく。必要な部から始める。

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 この取り組みは地元紙でも報じられ、振興委員会を立ち上げようとしていたところだったが、提唱した私が転勤になってしまい実現できなかった。地域には元気で役に立ちたいと考えている高齢者がたくさんいる。部活動は学校だけでなく、地域の協力者とともに運営する時代だろう。 (2017.2.20)

◇部活動は大切な教育活動だが(1)…改善しなければ続けられない

 教員の業務負担軽減策として、文部科学省スポーツ庁が平成29年1月6日付けで、部活動の休養日を適切に設けるよう求める通知を全国の教育委員会などに出したことが報じ(2月7日、産経新聞られていた。部活動の休養日については、昨年12月にスポーツ庁が公表した中学校の調査で、1週間の中で休養日を設けていないと回答した割合が約22%(週に1日が凡そ54%、2日が14%、3日以上が3%)、1カ月の中で土曜日や日曜日を休養日に設定していない割合も約42%(月1回が凡そ12%、2回が11%、3回が6%、4回以上が28%)に上っていたことが判明し、改善の必要があると判断したとのことである。

 スポーツ庁は部活動の適切な練習時間や休養日設定の考え方をまとめたガイドラインを、平成29年度に策定する方針を示しているとのことだが、教員の長時間労働を改善し、負担軽減を図るとともに、生徒の健康・健全育成の観点からも当然の対応だろう。

 学校における部活動は大切な教育活動であるが、学習指導要領における教育課程外であり、活動は主に朝や放課後の勤務時間外、あるいは休日になる。授業や学級経営、生徒指導などで多忙を極める教員にとってはもう限界なのだろう。

 40代の中頃だったが、教務主任として転勤した年の帰宅は毎日10時過ぎだった。教務主任も部活動の担当があり、仕事は終了後にしかできなかったからでもある。担当した部活動はそれまで指導したことのない部だったので、他校との合同練習や試合にはできるだけ出向いて教えを請うように努めたのだった。帰校してからまた仕事のため、休日でも日没前の帰宅はままならなかった。また、免許外の教科も担当したため、帰宅後教材研究にも膨大な時間を割かねばならなかった。

 退職して6年になるが、久々に顔を合わせた現職教員から、先生はいい時に退職されましたねと言われたが、益々忙しくなっているのだろう。日曜日や祝日は原則休養日にし、練習試合や大会などで活動した場合は、その翌日を休養日にする。各家庭の事情や生徒の負担を配慮して朝練習は行わないなど、部活動の健全なあり方を改めて見つめ直す必要がある。

 「勝たなくては、勝たせなくては」との思いは捨て、「勝つのは今でなくてもいい、後で勝てばいい」と考えるべきだろう。孔子は「之(これ)を知る者は、之を好む者に如かず。之を好む者は、之を楽しむ者に如かず。」と言ったが、部活動は(その対象を)好きにさせることが大事であり、将来それを楽しむことができる人間を育てることだろう。

 (2017.2.7)

◇いじめ(5)…いじめ調査を公表する

 平成28年12月、3件のいじめに関する記事を目にした。平成27年7月に自殺した岩手県矢巾北中2年の村松亮君(13歳)のことでは、第三者委員会が学校の対応が不適切と町教育委員会に報告書を提出したとのことだった。委員長は、学校はトラブルの度に対応してきたと言うが、教員全体での情報共有が不十分だった。いじめは担任一人では背負いきれない。学校全体や家庭で情報を共有し対策を取るべきだったと指摘したそうだ。

 平成28年8月に自殺した青森市の浪岡中2年の葛西りまさん(13歳)のことでは、捜査関係者が同級生100人以上から聞き取りをし、侮辱などに該当する行為をした生徒数人を児童相談所に通告したとのことだった。生徒は14歳未満のため刑罰は科されない。

 平成24年1月、同級生3人から殴る蹴るの暴行を受けて心配停止になり、現在も寝たきりになってい埼玉県川越市の19歳の少年(当時中学2年)のことでは、市と少年らに1億4800万円の支払い命令が出された。同級生3人は少年院に送致されたとのことだが、教員らは暴力を伴う事件にまで発展し生命と身体に危険が及ぶ状態を予見できたのに放置したのだそうだ。

 いじめ事件が度々報じられるようになってからもう何十年も経つ。学校のあり方が常に問われるが、過去の被害者の悲痛な訴えは少なくともこれらの学校には届かなかったようだ。

 学校では毎年いじめの調査を実施し教育委員会に報告している。そして、市や県など自治体ごとに、あるいは国としてまとめて公表されることになるが、自校の結果を保護者に公表する学校はほとんどない。ホームページへの掲載も見たことがない。

 子どもが通う学校の調査なら、身近な問題として保護者も受け止めるだろう。学校も校長以下教職員が一丸となって取り組まなければならないだろう。報じられたような対応をしていたら批判が殺到することになる。過去のブログ「いじめ(4)」で掲載したが、調査結果を学校は公表すべきだろう。 (2017.1.24)

◇早急にやらなければ緊急対策にならない

 昨年の5月4日、常磐道で起きたバスと乗用車の正面衝突事故(乗用車に乗っていた母親と6歳の子どもが死亡)は、中央分離帯がない高速道路の対面部分で起きた。対向車がポールを越えたら絶対避けられない大事故になることは誰でも分かる。そこで、早急に対策を講じほしいと首相官邸に意見を送った(5月6日)が、12月20日、国土交通省は事故防止緊急対策を発表した。

 具体的には、ラバーポールで仕切るだけの区間約2500㎞のうち、今春から約100㎞でワイヤーロープ5本で中央を仕切り安全対策を検証するとのことだ。

 二車線区間では、反対車線への飛び出しが一昨年は334件発生し、死亡事故の発生確率が四車線区間の約2倍になっているとのことなので、全線で早急に工事をすべきだろう。

 早急にやるから緊急対策なので、危険と分かっていても対策が遅れれば放置したのと同じである。アメリカだったら、賠償金は懲罰的な意味も含め何十何百億円になるのかもしれない。(2017.1.10)

◇批判や誘導のために使っていないか

    全教室に国旗を掲げたことは過去のブログで取り上げたが、教室に国旗を掲げることについて教職員の意見を求めると、国旗に対する日本の国民感情からすると望ましくないとの反対があった。国旗を忌避するような国民感情があるとは思えなかったが、掲げてみてそれがよく分かった。

 物事の判断を国民感情という観点から語られるとそのほとんどが否定されるが、否定のためにメディアなどが持ち出す国民感情は、国民の実態とかけ離れているように感じる。

 米軍オスプレイ海上不時着事故(平成28年12月13日)は、県民への被害防止と搭乗者の生命のためにとったパイロットの緊急避難行動だった。機体は大破しても県民の被害はなく、また、搭乗者に死者が出なかったのも幸いだったが、そのことへの言及はなく、メディアはオスプレイ、米軍への激しい批判を続けたのである。

 事故原因が明らかになり、19日から飛行が再開されることになると、事故から1週間も経たないのにと、また激しく批判し県民の反発は必至と報じた。

 「国民感情からすると」とか、「反発は必至」とか、「批判が高まるだろう」といった報じ方、そして、反発する人の声などを報じれば反発し批判することは当然のこと、それが正しいと世論を誘導しているようなものだ。偏向報道が多く報道への信頼が薄れているのは当然のことである。  (2016.12.26)

◇報道の力を借りる(2)…産経抄

 卒業式も終え春休みも間近になった頃、以下のような文書を送付すると、4月に入り産経抄子さんが西中学校を訪れた。


  産経抄子 様

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 過日の産経抄では、読まれた方から励ましの言葉をいただきました。本校の実践が世の中に発信されたこと、私のみならず教職員も喜んでおります。
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 3月をもって定年退職となります。教育の現場を去るにあたり、教職員に迷惑をかけることなく、教育活動にも支障をきたすことなくと考えていたので、学校名の公表を避けていただくお願いをしました。しかしながら、熊本県の3歳児が殺された事件に、教育の現場から感じるこの国の教育の間違い、改めなくてはならないことを世の中に知らせることなく去っていくことは許されないと思いました。悲惨な事件が連日発生していますが、私には、教育が間違っているからそうなると考えることが非常に多い。

 間もなく修業式も終わり春休みに入ります。今後、西中の実践をお取り上げいただく時には学校名を公表してくださっても結構です。
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 平成23年3月10日  栃木県足利市立西中学校長 OOOO

        

  産経抄(2011.4.25)

 栃木県足利市立西中学校の校長を今年3月まで務めていた、OOOOさん(60)にお目にかかった。今年2月10日付のコラムで、「毎朝、掲揚塔に国旗を掲げ、全教室でも常時掲揚し、地区最悪といわれた学校を立て直した校長」と紹介した人物である  ▼名前を伏せたのは、小林さんが、現場の混乱を心配したからだ。ところが「定年退職したので、もう学校に迷惑がかかりません」との知らせを受け取り、先日足利市を訪ねた  ▼まず、西中学校に案内してもらった。ちょうど午後の授業が終わって、掃除の真っ最中だった。西中では、教室はもちろんトイレや職員室を含めて、全員が分担して行うそうだ。「お久しぶりです」。生徒は満面の笑顔で、小林さんを迎えていた  ▼見ていてとても、気持ちがいい。かつて荒れた学校だったとは、信じられない。小林さんによれば、平成20年の赴任時には、すでに改革は進んでいた。新校長は市で一番、いや県下一の学校をめざす、との目標を宣言する  ▼とはいえ、国旗掲揚ひとつとっても、一部の教職員の反発は強かった。小林さんは週に1度、「校長室だより」と題した文書を作り、教職員と生徒、保護者に、自分の考えを粘り強く伝えた。小林さんがこの中で何度も訴えたのが、「日本人としての誇りと自信」だ。東日本大震災を経験して、その思いをより強くしている  ▼『学校の先生が国を滅ぼす』(産経新聞出版)で、大阪府の元公立高校校長の一止(いちとめ)羊大(よしひろ)さんが、国旗国歌の指導ができない学校の実態を暴いた。栃木県の学校は幸い、それほど荒廃が進んでいないようだ。退職後も教育改革に情熱を燃やすお二人を一度、引き合わせたいと思っている。


 この記事の反響は大きかった。足利市小中学校校長会の歓送迎会では、産経抄に感動したと教育委員長に紹介されたり、地域の方が産経抄を回し読みしたことを知らせてくれたり手紙が届いたりしたのである。

 私は報道の力を実感していたので、しばしば報道機関に情報を発信していた。何度も記事が掲載されたりテレビ放映されたりすると、学校の理解者応援者が増えていったのである。もちろん生徒や教職員の励みにもなったのである。  (2016.12.14)

◇報道の力を借りる(1)…産経抄

 定年退職まで2カ月余りとなった平成23年の1月、教育現場の思いを報じていただくために退職記念に作成した冊子「みんなの心に輝く学校をめざして」とともに、以下のような文書を産経新聞社に送付すると、間もなくコラムで取り上げられた。


  産経抄子 様

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 我が校は市内の悪い学校の横綱と言われ続けてきましたが、熱意溢れる教職員集団の絶大な力によって、今では足利で一番いい学校と言われるようになりました。
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 連日報じられる信じられないような事件、多くの人の手本となるべき人の悪事、国を疎んじるような人間の増加など、このままでは国が滅んでしまうと思っています。立て直すためには教育の改革が必要であり、そのために報道機関の力がどうしても必要です。冊子を送らせていただいたのは、教育現場の思いを紹介していただくことができたら、壊れかけているこの国を救うために少しは役に立てるのではないかと考えたからです。
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 平成23年1月28日  栃木県足利市立O中学校長 OOOO

        

  産経抄(2011.2.10)

 ロシアの動きは、相変わらず素早い。タス通信によると、北方領土の日の7日、東京の在日ロシア大使館前で、右翼の活動家がロシア国旗を引き裂いた。ロシア外務省は翌日、日本大使館の井出敬二公使を呼び、当局が犯人を処罰するよう要求する ▼同じく7日、菅直人首相は、「許し難い暴挙だ」と、メドベージェフ大統領の国後島訪問を批判した。この発言に対するロシア側のいら立ちが、背景にあるのは言うまでもない。ただせっかくの首相の勇ましい弁舌も、鳩山由起夫前首相が講演で、北方領土の2島先行返還論に言及した直後とあっては、効果も半減だ ▼前原誠司外相のロシア訪問を前に、出はなをくじく外交戦術でもあろう。そうした政治的な思惑を差し引いても、国旗の侮辱に対して強い姿勢で臨むのは、国際社会では当然といえる ▼これまで日の丸は、中国や韓国で何度も燃やされ、切り裂かれてきた。そうした行為に対して、日本政府は弱腰でありすぎた。いや政府の責任だけではない。公立学校の入学、卒業式で、国旗に対して起立しない教師の姿がみられる、世界でも珍しい国である。 ▼教育委員会や校長が国旗、国歌に敬意を示すよう求めると、「憲法違反」だと抗弁する。先月東京高裁は、さすがにそんな非常識を認めない判決を下した。原告の東京都の教職員たちは、きのう上告した。救いは、こんな先生ばかりではないことだ ▼栃木県内のある公立学校では、毎朝、掲揚塔に国旗を掲げるのはもちろん、全教室でも常時掲揚している。地区最悪といわれた学校を立て直した校長から送られてきた、改革の記録で知った。校長の要望で、学校名を公表できないのが残念だが。


 地方の中学校の取り組みなど、大新聞が取り上げることはないかもしれないと思っていたので正直驚いた。国旗については学区内の全戸に知らせ、地元の新聞でも報じられていたので、コラムを読んで誇らしく感じたなどの声が学校に届いた。教育活動に支障が出ることを心配し学校名を公表しないようお願いしたが、その必要は全くなかった。    (2016.11.29)