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本来の姿を取り戻す

「みんなの心に輝く学校をめざして」取り組んだ学校経営、「生き生きとした学校生活のために」取り組んだ生徒指導で感じた課題の解消を念頭に置いて教育問題などを考えます。

◇学校の状態は避難訓練でも分かる

 防災指導のために多くの学校は年に2回の訓練(4月か5月に1回目、11月か12月に2回目)を行っていることだろう。年1回以上の消火訓練、避難訓練、通報訓練が義務づけられているため、1回目に避難訓練と通報訓練、2回目に避難訓練と消火訓練といった具合に行うのである。

 訓練では、避難場所や避難経路を確認する、口をハンカチやタオルで覆う、小学校で教わってきた「おかし(=押さない、駆けない、しゃべらない)」を実践する、中学生らしく敏速に行動するなど、真剣な訓練を期待するのだが、意図したようにはならず消防署職員に苦言を呈されることもある。

 学校が荒れているなど秩序が乱れている時には、だらだらと喋りながら、笑い声が聞こえたりすることもあり、これでも訓練かと思うようなことがある。逆に本当に立派と感心するような時もあり、防災訓練は学校の状態がはっきり顕れる。

 訓練は防災指導として校務分掌に位置付けられた担当者によって進められるが、安全指導の防災に関わる部分は、防火管理業務の推進役である防火管理者(教頭)によって全体計画が作られる。防火管理者は消防計画を作成し、火災防止や震災対策に関すること、教職員の任務などの周知徹底を図り、防災指導の中心的役割を担うのである。

 学校によって多少の違いはあるが、どこでも以下のような消防計画を作成し指導に当たっている。韓国射撃場での火災、日本での雑居ビル火災など、多くの人が亡くなっていることを思えばおろそかにできない。訓練はやればいいというわけにはいかない。

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   足利市立〇〇中学校消防計画

          所在地  足利市〇〇町〇〇〇番地
               電話 (〇〇)〇〇〇〇
          防火管理者    〇 〇 〇 〇


      1章 総 則

(目 的)
第1条 この計画は、〇〇中学校の防火管理業務について必要な事項を定め、火災等の災害の予防及び、人命安全確保並びに被害の防止を図ることを目的とする。

(消防計画の目的)
第2条 この計画は、本校に勤務する職員及び生徒、その他出入りするすべての者に適用するものとする。

防火管理者の権限と業務)
第3条 防火管理者は、この計画についての一切の権限を有し次の業務を行うものとする。
1 消防計画の検討及び変更
2 消火、通報、避難訓練の計画とその実施
3 建物等の自主検査及び消防用設備等の点検の実施とその指導監督
4 火気の使用又は取扱いに関する指導監督
5 収容人員の把握と安全管理
6 管理権限者(校長)に対する助言及び報告
7 その他防火管理上必要な業務

(消防機関への報告及び連絡)
第4条 防火管理者は、次の業務について消防機関への報告、届出及び連絡を行うものとする。
1 消防計画の提出(改正の都度)
2 建築物及び諸設備の設置又は変更の事前連絡並びに法令に基づく諸手続
3 消防用設備等の点検結果の報告
4 自衛消防訓練時における事前通報及び指導の要請
5 その他防火管理について必要な事項


      第2章 予防管理対策

(予防管理組織)
第5条 日常の火災予防及び地震時の出火防止を図るため、防火管理者のもとに火元責任者並びに建物、火気使用器具等及び消防用設備等の点検検査を行う自主点検検査員を、別表1のとおり指定する。

(火元責任者の業務)
第6条 火元責任者は、次の業務を行うものとする。
1 担当区域内の建物、火気使用設備器具、電気設備等の日常の維持管理
2 担当区域内の消防用設備等の維持管理
3 地震時における火気使用設備器具の出火防止措置
4 防火管理者の補佐

(自主点検検査員の業務)
第7条 自主点検検査員は、次の業務を行うものとする。
1 自主点検検査員は消防用設備等について点検を実施し、その結果を防火管理者に報告するものとする。
2 自主点検検査員は、建物、火気使用設備器具、電気設備、危険物施設等について検査を実施し、その結果を防火管理者に報告するものとする。

(自主点検検査の時期)
第8条 自主点検検査の時期は次のとおりとする。
1 消防用設備     毎月
2 建築物       毎月
3 火気使用設備    毎月
4 危険物施設     毎月
5 電気設備      毎月

(点検検査結果の報告)
第9条 防火管理者は、消防用設備等の点検結果を1年に1回足利市消防長に報告しなければならない。(業者→学校管理課を通じて)


      第3章 火災予防措置

防火管理者への連絡事務)
第10条 次に掲げる事項を行おうとする者は、事前に防火管理者に連絡し、防火管理上必要な指示を受けなければならない。
1 指定場所以外で臨時に火気を使用するとき
2 各種火気使用設備器具を設置又は変更するとき
3 改装、模様替え等を行うとき
4 その他防火管理上必要な事項

(職員の遵守事項)
第11条 本校に勤務する職員は、各種災害を防止するため、次の事項を遵守しなければならない。
1 避難階段、通路等には、避難上支障となる物品を置かないこと
2 消防用設備等の周辺には、装飾等をせずその機能を阻害しないこと
3 火災を発見した場合は、消防機関(119)に通報するとともに、防火管理者に連絡し、災害時の活動計画に定める任務分担により、適切な行動をとること
4 喫煙は、指定した場所で行うこと

(火気使用時の遵守事項)
第12条 火気等を使用する者は、次の事項を遵守しなければならない。
1 火気使用場所は、常に整理整頓しておくこと
2 火気使用設備器具は、使用前、使用後必ず点検を行い安全を確認すること
3 工事を行う者は、火気管理について防火管理者の指示を受けること
4 終業時には、吸殻等を指定場所へ集めること


      第4章 自衛消防活動対策

(自衛消防の組織と任務分担)
第13条 自衛消防組織は、学校長を自衛消防隊長とし、次の任務分担により自衛消防隊を別表2のとおり指定する。

「隊長」
・自衛消防隊の各係員に対して、指揮、命令を行うとともに消防隊と密接な連携を図る。
・避難状況の把握を行う。

 「指揮係」
・隊長を補佐し、指示、命令の伝達に当たる。

 「通報連絡係」
・消防機関に対する通報及び確認を行う。
・出火の報知及び消防隊への情報の提供に当たる。

 「消火係」
・消火器具を用い消火作業に当たる。

 「避難誘導係」
・非常口等を開放し避難誘導に当たる。
・避難器具の設定、操作に当たる。

(避難経路図等)
第14条 自衛消防隊長は、人命安全を確保するため消防用設備等の設置位置及び屋外へ通じる避難経路を明示した避難経路図を作成し、職員すべてに周知徹底しなければならない。


      第5章 震災対策

(震災予防措置)
第15条 防火管理者及び火元責任者は、地震時の災害を予防するため、第2章に基づく各施設器具の点検検査に合わせて、次の事項を行うこと。
1 建物、建物に付随する施設物(看板、窓枠、外壁等)及び陳列物件の倒壊、転倒、落下の有無の検査
2 火気使用設備器具の転倒、落下防止及び自動消火装置、燃料等の自動停止装置等についての作動状況の検査
3 危険物施設における危険物品等の転倒、落下等の有無の検査

地震後の安全措置)
第16条 各火元責任者は、地震後、建物、火気使用設備器具等の点検、検査を行い、防火管理者に報告し、その安全を確認後使用を開始すること。

(震災に備えての準備品)
第17条 震災に備え、次の品目を常に持ち出せるよう準備しておくものとする。
1 医薬品
2 携帯用ラジオ
3 非常食(2~3日分)
4 飲料水
5 その他必要なもの

地震時の活動)
第18条 地震時の活動は、第4章による他、次の措置を行う。
1 火災が発生した場合は、全力をあげて消火にあたる。
2 防火管理者は、被害状況を校内放送等により、全職員に把握させるとともに必要な指示をすること、又関係防災機関からの情報を積極的に収集すること。
3 広域避難場所は、本校(菅田町100番地)とし、集合場所は校庭とする。
4 広域避難場所への避難開始は、防災機関の避難命令又は自衛消防隊長の命令により行う。


      第6章 防災教育及び訓練

(防災教育の実施時期及びその内容)
第19条 防火管理者は、次により防災教育を行うものとする。
1 実施時期 4月、9月、11月
2 内  容
 ア.消防計画の周知徹底
 イ.火災予防上の遵守事項
 ウ.職員各自の任務及び責任の周知徹底
 エ.震災対策に関する基本的事項
 オ.その他火災予防上必要な事項

(訓練の実施時期及びその内容)
第20条 防火管理者は、次により訓練を実施するものとする。

 「総合訓練」…  月 日、 月 日
 消火、通報、避難誘導の訓練を連携して実施し、必要と認める場合は消防機関への指導を要請すること。

 「消火訓練」…  月 日、 月 日
 消火器具の取扱要領の習熟を図り、初期消火訓練を行う。

 「通報訓練」…  月 日、 月 日
 消防機関(119)への通報要領及び火災発生時の連絡態勢の習熟を図る。

 「避難訓練」…  月 日、 月 日
 避難誘導要領及び避難器具の設定要領の習熟を図る。

 「付則」…この消防計画は、平成〇〇年4月1日から実施する。

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 自主点検表

 (検査日 平成  年  月  日 検査員         

 【建物構造】
1基礎部
 上部の構造体に影響を及ぼすような沈下・傾き
・ひび割れ・欠損等がないか。         「   」

2柱・はり・壁・床
 コンクリートに欠損・ひび割れ・脱落・風化等
はないか。                  「   」

3天井
 仕上材に、はく落・落下のおそれのあるたるみ
・ひび割れ等はないか。            「   」

4窓枠・サッシ・ガラス
 窓枠・サッシ等には、ガラスなどの落下、又は
枠自体のはずれの恐れのある腐食、ゆるみ、著しい
変形等はないか。               「   」

5外壁
 外壁の仕上材に、はく落・落下の恐れのあるひび
割れ、浮き上がり等が生じていないか。     「   」

6ベランダ手すり
 支柱等が破損していないか。また、取付部にゆるみ
や浮きがないか。               「   」

7屋外階段
 ひび割れ・腐食・老化等はないか。      「   」

 【消防用設備】
1消火設備(消火器・消火栓)
 ①標識はあるか。              「   」

 ②転倒防止処置はあるか。あるいは転倒しにくい
場所にあるか。                「   」

 ③消火栓箱内にホースはあるか。破損等の異常は
ないか。                   「   」

2警報設備(火災報知機・放送設備・通報設備)
 計器盤その他に外見上の異状はないか。    「   」

3避難設備(誘導灯・誘導標識)
 破損等の異状はないか。           「   」

 【避難施設】
1廊下・通路
 避難上支障となる障害物はないか。      「   」

2階段
 手すりの石板にゆるみ等はないか。      「   」

3避難口(出入口)
 ①避難口は内部から容易に開けられるか。   「   」

 ②障害物はないか。             「   」

 【火器設備器具】
1ガスコンロ・湯沸器・石油スト-ブ
 ①可燃物品からの距離は適切か。       「   」

 ②周囲は整理整頓されているか。       「   」

 ③ガス配管に亀裂等の異常はないか。     「   」

 【電気設備】
1変電設備
 異音、過熱(異臭)はないか。        「   」

2電気器具
 ①タコ足の接続を行っていないか。      「   」

 ②適正に使用しているか。          「   」

 【危険物施設】
1ガスボンベ・石油庫
 ①ガス臭はないか。             「   」

 ②容器の転倒防止処置はあるか。       「   」

 ③ガスの金網に破損等の異状はないか。    「   」

 ④火気厳禁の標識は掲げられているか。    「   」

 ⑤周囲に火気はないか。           「   」


※1不備・欠陥がある場合には直ちに防火管理者に報告する。
 2記入の仕方(〇…良 ×…不備・欠陥 ●…即時改修)
 3この点検は、学校安全点検と合わせ毎月実施する。
 4業者による各種点検と合わせ防災管理には万全を期す。

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  平成20年度 避難訓練校長講評(4月18日)

 本日の訓練は、教室からの避難経路の確認と機敏な行動、意識の高揚が目的でしたので、おおむね良好な訓練だったと思います。

 訓練でありがちなのは、こんなことやっても大した意味はない、こんなところで死ぬことはないなどと考えてしまうことです。そう考えると、真剣味がなくだらだらとした訓練になってしまうかもしれません。

 災害は見るからに危険で、何か起こりそうな場所、断崖絶壁のようなしびれっちゃうような場所で起こると考えてしまいがちですが、そうではないようです。どう見ても安全で、何でこんなところでと思えるところでも起こります。

 学校は安全な場所と考えがちですがそうではありません。また、このような訓練は本校だけのことを考えてやっているわけではありません。旅先などでの災害に適切に対応できる力をつけるためでもあります。

 訓練が役立つような災害が起こらないようにとは誰もが願うことですが、世の中何が起こるか分からないのですから、日頃から防災意識を高めておくことは大切です。今日はご苦労様でした。

  (2016.7.19)

◇教職員による管理職評価が必要である

 同僚が評価する教職員の評価は管理職より厳しく確かなことも多い。したがって、同僚の評価を考慮して教職員の処遇を行うことは重要である。特に管理職の登用では重要だろう。

 ある学校に教職員から全く信頼のない教頭がいた。しかし、校長になってしまった。年齢や経験、校長試験の結果だけでなく、教職員に信頼されているかを考慮した人事が行われたなら、こういうことはなかっただろう。

 教諭の時の評判は特に悪かったわけではないが、管理職(教頭)という立場を得たことで、自制してきた本来の姿が表に出てしまったのかもしれない。校長になっても相変わらずの評判で、改善のためには教職員による自分への評価を知る必要があると感じたのである。

 以下は、現職最後となった中学校で行った教職員による管理職(校長と教頭に対する)評価である。校長と教頭は、芳しい評価をいただけなかったとしても結果を公表しようと決めていた。

 普通にやっていれば教職員もそれなりに評価してくれることが分かり、こういう調査は他校でもやるべきではないかと感じたのだった。

        

 質問には、『はい』(そう思う、どちらかと言えばそう思う)か、『いいえ』(そうは思わない、どちらかと言えばそうは思わない)のどちらかで答える方法をとり、『はい』と答えた人数を百分率で表した。(平成21年10月調査)

 

◆(本校の校長・教頭は)どんな管理者であると思いますか。

*話を聞いてくれる管理者である。

     『はい』 … 93%

*ゆとりのもてる学校をつくる管理者である。

     『はい』 … 80%

*職員との信頼関係を高められる管理者である。

     『はい』 … 82%

*教職員を信頼し、任せるところは任せる管理者である。

     『はい』 … 93%

*力強く学校を引っ張る(指導力のある)管理者である。

     『はい』 …100%

*本質を大切にする(表面的なこと、形式に捉われない)管理者である。

     『はい』 … 93%

        

 この評価は他の評価と併せて全戸配布で公表した。  (2016.7.12)

◇全日中校長会(5)…存在すら知られていない

 現職の頃なら総会に出席したり、会報を読んだり、校長会の動向を多少なりとも把握することができたが、退職後は情報も入らなくなる。教職経験がない人達には何をしているかなど全く分からないし存在自体も知らないだろう。

 学校で発生した事件や事故、教育問題などについての意見を校長会に求める報道機関はないようで、識者(や評論家)と言われる人達の見解は報じられても、校長会のそれは報じられることがない。長年教育に携わってきた1万人もの校長で組織する会の見解や提言は報じられてほしいものだ。

 平成19年10月、文科省に出向き初等中等教育企画課長、企画課総務係長に意見を述べた。特にお願いしたのは、校長や教頭として職員を出向させることだった。文科省職員が現場を体験して教育施策に携われば今とは随分違う状況が生まれると考えていたからである。その後平成21年4月、品川区立大崎中学校に文科省官僚の校長が誕生したが、各都道府県に複数配置するくらい拡大してほしいものだ。                             

 帰りがけに現場の管理職から話を聞く機会を尋ねると、今日のようなことは今までなかったとのことだった。全日中校長会は本部を東京に置いて活動しているので、文科省とは密な関係を築いているだろうと考えていたので今までなかったことに正直驚いた。会が組織されて60年にもなるのにである。

 校長が個人として活動しても大きな力にはならないかもしれないが、会として報道の力も借りて組織的に活動したなら、どれ程大きな力になるだろう。国が大きく変わっていくに違いない。文科省が変わるのはまだまだ先のことで、それを待ってはいられない。 (2016.7.5)

◇起立できないなら教職を続けるべきではない

 最高裁は、卒業式の国歌斉唱で起立しなかったことを理由に停職処分を受けた元教員2人の処分取り消しを求めた裁判で、都側の上告を退ける決定5月31日付)をした。

 2人(元養護学校教員「66歳」と元中学校教員「65歳」)は、2007年3月、それぞれ停職3カ月と6カ月の懲戒処分を受けた。最高裁の決定により2人の処分を取り消し20万円の支払いを命じた二審の東京高裁判決が確定したのである。

 過去に注意や訓告を受けたり、あるいは戒告などの処分がされていたのか分からないが、不起立一事をもっての停職ならかなり厳しい処分ではある。

 日本サッカー協会の重職を務めた方の経験だが、その方はサッカー会場で国歌の演奏が始まっていることに気づかず座って仕事を続けていると、激しいブーイングを浴びたのだそうだ。起立すると収まったということだった。

 観光で東南アジアに出かけた方(北中の教頭先生)は、ラーメンを食べている時に突然国歌が流れ、店にいた客達は一斉に立ち上がったという光景を目にした。あのまま座って食べ続けていたら殴られたかもしれないと話したが、国旗や国歌に敬意を払えないような人間は世界で通用しないだろう。

 私が勤務した中学校では感じたことがなかったが、小学校の運動会では違和感を感じたことがある。運動会の開会式の国旗掲揚で児童全員が体育帽を被ったまま、教職員の中にも何人か被ったままの学校があった。国旗掲揚に際して通常行われる放送「会場の皆様もご起立脱帽の上、国旗にご注目ください」もなかった学校では、座って帽子を被ったままの人が多数いたのである。

 この判決によって、児童生徒の起立指導がされなかったり、教員の不起立が正当化されてはならない。思想・良心の自由を侵害するつもりはないが、国歌斉唱で起立できない人には教職を離れてほしいものだ。  (2016.6.28)

◇潔さは日本人の美徳である

 政治資金の私的流用、公私混同を追及され続けた東京都知事がついに辞職することになった。2度の離婚や愛人、過去の言動、著書など、諸々のことが暴露され人間性にまで話題が及んで多くの人を呆れさせてしまった。

 現在の奥さんとの間に生まれた2人の子どもは高校生と中学生なので、何が起きているのか分かるはずである。それだけに相当傷ついたことだろう。

 潔さは日本人の美徳と考えているが、子どもを守るということを優先したならもっと早く辞めることができたであろうし、傷口を広げることもなかったかもしれない。

 政界一の艶福家と言われるほどの若い頃の女性遍歴、厳しい他者への批判や非難、そして、連日報じられていたせこい振る舞いには、過去のブログ「職を全うするために」でも述べたが、孔子が君子の警戒すべきこととして言った箴言(若い時に警戒すべきことは色欲の過ちであり、壮年は闘争の過ち、老年は貪欲の過ちである。)が浮かんでくる。

 この度の騒動は論語とは真逆の都知事の生き方が招いたことであり、こんな生き方をしないよう子供達には道徳本としての古典である論語を読ませたいと改めて感じた。   (2016.6.21)

◇会議が多い学校にしてはならない

 年度当初は仕方がないとしても、年中会議が行われるような学校は教職員にとって苦痛であり、働く意欲も削がれるのか、自分の経験では活力のある雰囲気のいい学校はなかった。生徒指導上の問題もしばしば発生した。

 生徒と教師が一緒にいられる時間が短くなるのだから、そうなって当然かもしれない。会議が多い会社ほど失敗が起きやすいと聞いたが、学校も同じである。

 学校で会議が多くなるのは、教育委員会などから人権教育、特別活動、生徒指導、学習指導といった研究学校の指定(通常1・2年だが3年の時もある)をされたり、あるいは教育研究大会の会場校を引き受けた時には、連日のように会議が続くこともある。

 発表が近づくと、学校だけでは仕事が終わらないので、家に持ち帰り夜中の2時3時までという経験のある教職員は少なくないだろう。

 そんなに頑張ったのだからさぞかし成果が上がるかというとそうもいかない。生徒指導の研究学校の指定を受け、生徒指導を研究していた学校が荒れてしまったこともある。

 教職員が研究のための研究と感じるようなもので、頻繁に会議を開かなければならないもので、成果を上げることはできない。会議は最小限であるべきだろう。  (2016.6.14)

◇親は尊敬の対象

 退職して何年も経つと、「今頃学校は…」と考えることも少なくなるが、年度が変わる頃は学校を懐かしく思い出す。

 現職最後の中学校に赴任して初めての入学式(平成20年度)だったが、新入生に述べた以下のような内容のところで、せせら笑うような保護者の姿が目に入った。そこで、声を荒げるように気合いを入れて読み出すと潮が引くように静かになった。

 入学に当たり、新入生の皆さんにお願いしたいことを2つ述べます。1つ目は、家族を大切にし親を尊敬してほしいということです。
 世界中どこでも親は子どもにとって尊敬の対象です。愛情を注ぎ、皆さんの年になるまで育てるのは並大抵のことではありません。誰が考えても、それは尊敬に値することです。

 2つ目は、同級生はもちろん上級生との関係も深め、一生の友達をたくさん作ってほしいということです。
 そのためには、お互いに努力することが大切です。人間関係は、どちらか一方の努力だけで深まることはありません。もちろん先生との関係も深めて一生の師弟関係を築いてほしいと思います。

 この年の新入生の入学前の評判は芳しくなかったが、学年が進むとともに順調に成長した。この学年(平成22年度卒業)成人式(2016.1.10)については、過去のブログにも書いたが、全員起立して国歌を斉唱し、式辞や祝辞には静かに耳を傾け、誓いの言葉では代表が席に着くまで起立し続けるなど、とにかく立派で招かれた当時の職員や地域の役員は満足し誇りに思ったことだろう。  (2016.6.7)